/
病院でもらう処方箋。お薬を一回の受診でもっと出してほしい…と思ったことはありませんか?特に、仕事に家庭に忙しいmichill読者にとっては、定期的な受診は難しいこともありますから、一回の受診で長めにお薬をもらえたらとっても助かりますよね。今回は、そんなお薬の処方日数の上限や長期処方についてのマメ知識をご紹介します。
前に出してもらったお薬がなくなりそう!また受診しなきゃ!
なんて慌てて受診したことのある方もいるのではないでしょうか。
最近では土曜日の午後なども診察をするクリニックも出てきましたが、働きながら定期的な受診をするのは、なかなか難しいものですよね。
定期的な受診の負担を軽減する方法は何かあるのでしょうか。
その解決方法のひとつが、長期処方を出してもらう、つまり、いつもより長めにお薬を出してもらう、ということです。
では、その長期処方、どのような規制があり、どのくらいまで処方が可能なのでしょうか。
10年以上前までは、お薬を長く処方できない規制がありました。たとえば、高血圧などの慢性疾患でも30日分までが制限でした。
しかし、2002年の法改正により投与期間の見直しがなされ、これらの規制は廃止となっています。
現在では、一部のお薬(睡眠薬や特別な管理が必要なもの、新薬)を除いて、処方日数に関する規制はありません。
では、どのくらいでも出せるか、というとそういう訳ではなく、医師の裁量で決められるようになったということです。
規制が廃止されてから、高血圧などの慢性疾患で、安定した症状の患者さんの場合には30日分や60日分、長いものだと90日分の処方も見られるようになりました。
じゃあ、私も90日分出してほしい!
という方もいるかもしれませんが、医師がそれぞれの患者さんの状態と必要性を見極めたうえで、お薬と処方日数を総合的に判断しています。
長く出してもらって、残ったらまた別の機会に飲めれば…なんて考えている方はいませんか?残念ながら、医療用のお薬は、一般薬と違って自分で判断して飲めるお薬ではありません。
例えば、90日分出されることもあると先述した高血圧の患者さんでも、症状や検査結果が安定しない場合は、7日分や14日分の処方を出されることもよくあります。
また、風邪で調子がわるくて受診した場合、長くても1週間くらいの処方日数でしょう。これは、風邪の症状が1週間以上長引く場合は、また別の診断が必要になる場合があるからです。1回の処方箋には、もし症状が安定または改善されなければ再度診察する必要がある日数が出されています。
1回に出されたお薬はきっちり飲むことが大切です。特に抗菌薬が出されている場合は、自身の判断で服薬を中断しないようにしましょう。
じゃあ、なかなか長く出してもらえないじゃない…とお思いかもしれませんが、何か事情があれば、それをきちんと伝えることも大切です。
例えば、
「出張で2週間後は受診できないから、それ以上続けて飲んだ方がいいようなら3週間分もしくは4週間分出してもらえないか」
「2週間に1回の診察は負担なので、症状が安定したらもう少し間隔をあけられないか」
など、正直に自身の都合をお話ししてもいいと思います。
診察に来られないことによって服薬が中断してしまうと、治療計画が変わってしまうだけでなく、体調が悪化するなどすることが考えられ、医師もそれを心配していることがあります。医師はあなたの体調を良くしたいと思って診断や処方を行っていますので、素直に話してみましょう。
「今はまだ14日処方で」という場合でも、その理由を聞くことによって納得できるのではないかと思います。
身体に関係することですので、一概に費用と安心・安全などと比べることは難しいのですが、一度に長期間のお薬を出してもらうと、再診に関わる費用はかからなくなるので、長く考えると費用負担は少なくなります。
再診料として、病院では診察代とその他関連費用、処方せん発行料など、薬局では薬を作ったり薬の情報を管理するような費用が、薬代とは別にかかります。間接的には医療機関への交通費や時間的なコストもかかります。長期処方になると、薬代以外の費用がその分不要になります。
長期にお薬を出してもらうと、医師の診察の間隔があくことになり、副作用が出ている場合には初期症状が見つけられずに対処が遅れる、という可能性が高まります。
また、以前に飲んだことがあるお薬でも、季節の変わり目や体調の変化などによっても副作用が誘発される場合もあり、長期に飲んでいることによって出やすい副作用もあります。
飲み慣れたお薬であっても、いつもと違う症状がでたり、気分が悪くなったりしたら、すぐにそのお薬を出された医師や、かかりつけの医師、かかりつけ薬剤師に相談してください。
長期処方を出してもらえることによって、時間的にもコスト的にもメリットがありますよね。忙しい我々世代にとっては、ありがたいことです。
しかし一方で、副作用や体調変化の初期症状を見逃すことは、大きなデメリットです。
体調変化には十分注意しながらも、受診の間隔に負担がある場合は医師や薬剤師と相談してみましょう。そして、症状が安定してもお薬が切れる前に、きちんと受診するようにしてくださいね。
【あなたにおすすめの記事】
■薬の形状の意味とは?かたちって選べるの?薬剤師さんが解説
■お薬手帳の使い方って?薬局での負担額も安くなる?
■セルフメディケーション税制はレシートが必要!薬剤師さんが解説
■かかりつけ薬剤師のメリットって?気軽に自分の薬について相談
■隠れインフルエンザかも!薬剤師が教えるインフルエンザの対処法
この記事のライター
薬剤師、MOT(技術経営修士)
遠藤さちこ
4961
薬剤師、MOT(技術経営修士)薬局、製薬会社、流通会社等で医薬品やヘルスケアサービスに携わる。コンビニエンスストアと薬局の併設店舗の企画業務等も経験。さまざまな立場で医療や健康を見つめ、幅広い情報収集活動と情報発信を行っている。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント