更新日:2017年6月20日 / 公開日:2017年6月20日
食中毒が心配な季節になりました。怖い食中毒ですが、家庭でも基本的な対応で防ぐことができます。また、食中毒には「下痢を止める薬」といった市販薬は向きません。今回はそういった「食中毒について」をお話ししたいと思います。
毎晩のおかずをすべてその日に作ることは難しい私たちにとって、作り置きは強い味方ですよね。
また、バーベキューや持寄りパーティ、運動会や遠足など学校行事等でのお弁当など、作ってすぐに食べないという機会があると思います。そんな時に心配なのが食中毒。
みなさん「食中毒は夏場に注意が必要よね!」と認識されていると思いますが、実は細菌などの増殖がおさまるのはマイナス15℃と言われているので、日本においては1年中注意が必要なのです。
また、食中毒というと、飲食店で起こるイメージを持つ方が多いと思いますが、家庭での食事でも発生する可能性はあります。
実際に、平成27年に発生した食中毒の約10%は家庭で発生しているのです。
食中毒とは「飲食物を原因として、下痢や嘔吐、発熱などを起こす中毒症状」のことを指します。
主にウイルスや細菌、キノコなどの自然毒、寄生虫などが原因となります。
腐敗した飲食物は匂いがしますが、食中毒の原因菌の多くは目に見えない、また匂いがしないことが多く、口に入れる前に気づきにくいという特徴があります。
日本の衛生環境の向上により食中毒の感染者数は減少しています。
しかし、O157による集団感染は記憶に新しいのではないでしょうか。場合によっては死亡につながることもある、恐ろしい感染症でもあります。
安全で楽しい食事をするために、「食中毒を防ぐ3つの原則」と、具体的な予防法である「6つのポイント」をご紹介します。
手にはさまざまな雑菌が付着しています。
食中毒の主な原因となる細菌やウイルスを食べ物に「つけない」よう、調理を始める前や食卓につく前には、手を洗いましょう。
また、まな板の使用法によっても、感染を防ぐことができます。
生肉や生魚などを切ったまな板を使って、生で食べるサラダ用の野菜を切るなどの場合は、一度きれいに洗ってから使用しましょう。
細菌の多くは、高温多湿な環境で増殖が活発になります。
一方で、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、またマイナス15℃以下では増殖が停止すると言われています。
買い物から帰ってきた後は、できるだけ早く冷蔵庫や冷凍庫にいれましょう。
ほとんどの細菌やウイルスは、加熱によって死滅します。
お弁当など、調理から食事までの間があく場合は、生焼けを避け、できるだけしっかり加熱する献立を選びましょう。
また、魚介類の内臓にはアニサキスなどの寄生虫がいる場合があります。
時間が経つと内臓から筋肉に寄生虫が移動するので、内臓はすぐに捨てます。加熱又は冷凍をし、できるだけ、生食を避けましょう。
また、まな板やふきん、包丁などの調理器具には、定期的に熱湯をかけること、台所用の殺菌剤の使用も効果的です。
では、食中毒予防を家庭で具体的にどのように行うのか、6つのポイントでご紹介します。
・なるべく新鮮なものを買う
・肉や魚はできれば買い物の最後の方に買う
・肉や魚などの汁が他の食品につかないようにする
・家に着いたらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保管する
・肉や魚、卵などを触った後は手を洗う
・冷蔵庫や冷凍庫に詰め過ぎない
・包丁やまな板は、肉魚用と野菜用を分けると安全
・ふきんやタオルをこまめに交換する
・肉や魚は十分に加熱(中心部が75℃で1分間以上の加熱が目安)
・食事の前に手をあらう
・食器は乾燥させたものを使う
・室温で長時間放置せず、清潔な容器に保存する
・温め直す時も十分に加熱する
・匂いや色が少しでもあやしいと思ったら、すぐに捨てる
食中毒にかかると、主に下痢や嘔吐、発熱が発症します。
細菌感染のなかには、潜伏期間と言って、体内に原因菌が入ってから症状がでるまで時間を要するものもあります。
市販薬で「下痢を止める薬(腸の活動を抑える薬)」がありますが、実は食中毒の下痢には向きません。体内に原因菌を閉じ込めてしまうことになるからです。
下痢や嘔吐は原因菌を体外に出そうとする体の自然な防御反応ですので、無理に止めることはしない方がいいとされています。
ただ、いわゆる善玉菌が入っている整腸薬は服用してかまいません。
むしろ下痢の後に、お腹の調子を整えるために整腸剤を服用したり、乳酸菌などを含む発酵食品(ヨーグルト、納豆など)を食べるのはとてもいいと思います。
下痢や嘔吐が続くと脱水症状になりますので、スポーツドリンクや白湯を飲んで、水分補給をし、症状が落ち着いてきたら、おかゆなど消化に負担のかからない食事で様子を見ましょう。
激しい下痢や嘔吐、また普段とは違う色の便が出る場合、発熱がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
この記事のライター
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