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これまでも投資についてお話をしてきましたが、投資を始めるにあたり、実際は投資とギャンブルの区別がつかずに怖いと思ったりしていませんか。私も投資の勉強をする前は、投資はギャンブルだからやるものではないと思っていました。しかし、投資と投機(ギャンブル含む)、この2つは別々の物でしっかりと違いを理解すれば、投資が怖いものではなくなります。投資と投機はよく同じだと思われがちですが、今回はこれらの違いについてお話します。
この考え方は弊社が運営する投資スクール(グローバルファイナンシャルスクール/GFS)的な考え方になりますが、結論から言えば、投機とは機会にお金を投じること、投資とは将来の利益を見込んでお金を投じることを指します。詳しい説明は後で述べますが、投機に当てはまる手法と投資に当てはまる手法を、先に知りたい方は下記の表に一覧でまとめていますので、ご確認ください。
投機と投資の違いは、投機は機会にお金を投じること、投資は将来の利益を見込んで資産にお金を投じることを指します。それぞれ詳しく説明していきます。
投機とは、機会にお金を投じることです。機会とは、運やタイミングを狙い、短期的な価格の変動を予測して取引をすることです。
投機に関する金融商品や取引例には、以下の種類があります。
投機に関する金融商品の種類や取引例
・FX(外国為替証拠金取引)
・暗号資産(仮想通貨、暗号通貨とも言う)
・先物取引
・金投資(ゴールド)
・デイトレード(日計りの短期トレード) etc.
上記に共通するのは、タイミングを見計らって売買をする必要があること、利益を得られるかどうか運にも左右される所です。短期で利益を得られる可能性もある分、リスクもとても高くなります。
そして投機は価値より価格に注目される取り引きともいえます。なぜなら日々の価格の変動で取り引きがされるからです。
例えば金(ゴールド)の延べ棒を5kg持っていたとします。来年になったら、2本(10kg)に成長するでしょうか。金の価格は変わっても、利息も配当もつきません。金の価値そのものは変わらないですよね。金そのものが利益を生み出す努力をするわけでもありません。つまり金を持っているだけでは、利益は生み出さないし、価値も大きくならないと考えられるのです。
しかし金の価格は日々変動しています。タイミングと運が良ければ、買った時の価格より高く売ることができます。反対にタイミングが悪いと買った時の価格より、低い金額で売ることになることもあります。これは金が金そのものの価値ではなく価格の変化だけに注目されている取り引きであるということがわかります。
投機とギャンブルは一見同じように見えますが、違いがあります。投機は勝つ人も負ける人もいるゼロサムゲームです。勝つか負けるかなので、5対5の確率です。その点、ギャンブルは胴元が儲かる仕組みになっていて、期待値がマイナスになっています。要は勝つ可能性が限りなく低いということになります。
期待値とは掛け金に対して戻ってくる見込み金額のことです。
ギャンブルの種類は主に下記です。
・パチンコ
・競馬、競艇
・宝くじ
・麻雀
・ルーレット
・ポーカー など
下記は期待値を示した一覧表のまとめです。
例えば宝くじを1万円分買うとすると、返ってくる金額は確率上で4,500円です。私は最近宝くじを6,000円分購入しましたが、600円しか返ってきませんでした。確かに1等などが当たれば、賭けた分の採算が取れる可能性もあります。しかし基本的には、ギャンブルは勝負をすればするほど損をする仕組みになっています。
ギャンブルを全て否定はしませんが、一か八かの勝負をするのはし続けることはオススメできません。仕組を理解した上で、無くなっても良いくらいの金額を遊びでやってみる、買ってみる、くらいにしておくのが、賢明かもしれません。
投資とは将来の利益を見込んで資産にお金を投じることです。資産とは、株や債券、不動産のことです。
しかし投じた金額以上の利益が必ず戻ってくるということではないので、リスクも理解した上で長期的な目線で投資をするかどうかの判断が必要です。
投資は投機と違い、価値が注目されています。株式、債券、不動産に投資をする場合、投資家は人間のオーナーになります。
例えばトヨタ自動車に株式投資をするとします。そうすると投資家はトヨタ自動車という会社のオーナー=人間のオーナーになるということです。
トヨタ自動車には現在約37万人の従業員がいます。(2022年11月現在)全従業員が仮に1日8時間働いたとすると、総労働時間は約296万時間になります。これだけの人が日々、自動車を製造し、販売して、利益を生み出しているのです。つまり利益を生む行為が価値を生みだしていることになるのです。
まとめると投機は自ら成長することがなく、人間が価値を生み出すことがない、投資は人間が価値を生み出しているということです。
株式投資も短期トレード投資をすると投機になりうる可能性があります。なぜなら短期間で売買をするからです。短期トレードの一つとされるイナゴ投資というものがあります。イナゴ投資とは、株価に影響がありそうな情報が出た時に、短期間で売買を繰り返すことを指します。
イナゴされた銘柄は、短期間で急上昇したあと、急激に下落し、塔のようなチャートの形になることから、イナゴタワーと呼ばれます。
出典:金融情報サイト【イナゴタワー】
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/souba/sou458.html
しっかりと勉強をせずに、ネットや他人からの情報だけで買ってしまう人もいます。イナゴ投資に巻き込まれてしまった結果、含み益が短期間でマイナスになったり、破産するほどの借金を抱えたりする人もいるので注意が必要です。
次に投機と投資のメリットとデメリットについてお話します。
・運やタイミングが良ければ短期で儲けられる
投機は運やタイミングよく価格の変動が予測できれば、短期で儲けられる可能性もゼロではないといえます。しかし短期で儲けられる反面で、短期で損失を負うリスクも高いといえるので、オススメはできません。
・運やタイミングが悪ければ損をする
投機は価格変動の運やタイミングが悪ければ損をする可能性も高くなります。なぜなら価格の変動は誰も予測できないからです。うまくいけばすぐに2倍、3倍、それ以上なることもありますが、最悪の場合は、資産は半分、またそれ以下になる可能性もあるのです。
・常に値動きを気にしていなければならない
投機は常に値動きを気にして取引のスタンバイをしていなければなりません。常に価格が変動しているので、売買のタイミングをパソコンやスマホの前でいつも伺っていなかればならないからです。外貨取引などになりますと、取引所の時間が日本時間の場合、夜中や朝方だったりするので、毎日そのような時間に待ち構えるのが難しい人もいます。
・元本保証がない
投資にもいえるが、元本は保証されていない。
・投資をした人はみんな利益が出る可能性がある
企業が儲かれば、投資をした人全員に投資割合に応じて利益が与えられる可能性があります。企業の利益は誰のものか?といえば、投資をした者、つまりオーナーのものになります。よって成長する見込みのある企業にお金を投じているので、投資をした企業が成長すれば、企業の価値が上がり、また企業は利益を得られるようになります。結果的にその恩恵をオーナーである投資家が受けられる仕組みになっているわけです。
・インフレ対策になる
投資はインフレ対策になります。投資は物価の値上がり以上のリターンを狙うことも可能だからです。インフレはモノやサービスの値段が上がり続けるため、結果的に現金の価値が減ることと等しくなります。よって投資をうまく利用してインフレ対策することがとても大事です。
・元本保証がない
投資は貯金と違って元本が保証されていません。投資方法や商品選びに気をつけることで、元本割れのリスクを少なくしたり、押さえたりすることも可能です。
・短期で儲けるのは難しい
投資は基本的に長期運用が前提です。よって投機と違って短期で儲けるのは難しいといえます。投資は将来有望な投資先へ投資をするため、成長するまでに時間がかかる場合が多々あります。じっくり長期的に待つ必要があるため、短期間で利益を出すのは難しいと言えます。
前章でも説明したイナゴ投資をすれば短期で儲けられる可能性もゼロではありませんが、オススメはできません。
初心者には投機よりも投資をオススメします。その理由は下記3つです。
・投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある
・常に値動きを気にしなくて良い
・商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる
それぞれ解説していきます。
・投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある
投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性があります。なぜなら投資は将来の利益を見込んでお金を投じることですので、成長する可能性のある投資先を、分析し、時間をかけて、探すからです。投機と同じく元本保証はありませんが、分析をし、しっかり上がりそうな投資先に投資をすることで元本割れのリスクをできるだけ抑えることが可能です。
・常に値動きを気にしなくて良い
投資は投機のように常に値動きを気にしなくて大丈夫です。なぜなら投機ではなく投資であれば、短期決戦ではなく、あらかじめ中長期目線で価値が上がる見込みがある投資先に投資をしているはずだからです。投資も毎日値動きがありますが、分析をして長期的にみて上がりそうと思った投資先に投資をしているのなら、1分1秒の値動きを気にする必要がありません。つまり短期決戦で投資をしているということでしたら、それは投資ではなく投機です。
・商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる
投資はしっかりと商品を選ぶことによってリスクをできるだけ抑えることができます。なぜなら成長の見込みのある所へ投資をしているのなら、投資先が成長し続けている限りリスクに晒せれる確率が低いからです。
最後に投機と投資にそれぞれ向いている、向いていない人について下記にまとめました。どんな人なのかそれぞれ解説していきます。
・常に値動きの監視ができる人
常に値動きの監視ができる人は投機に向いているといえます。なぜなら投機は毎秒毎分ごとに常に値動きが変化するため、パソコンやスマホの前で常に構えて、タイミングを狙わないと利益を出すのが難しいからです。外貨取引の場合は、取引時間が日本時間の場合、夜中や朝方だったりするので、その時間にも対応できる時間に余裕のある人が向いているといえます。
・借金を抱えるリスクをとってでもリターンを求めたい覚悟のある人
借金を抱えても良いという覚悟のある人は、投機に向いているといえます。なぜなら投機は基本的にハイリスク・ハイリターンですので、取引の結果次第では、大きな損失す可能性があります。投じた資産を失い、商品によっては運用を継続するためには追加資金が必要になる場合もあります。相応の知識と覚悟を持って運用しなければなりません。
・資産運用に時間をかけられない人
少しの手間で利益を得たい人は投機に向いていません。なぜなら先程向いている人で常に値動きの監視ができる人の説明をしましたが、ここの手間をかけられないと投機でリターンを得るのは難しいからです。
・余剰資金が全くない人
余剰資金が全くない人は投機に向いていません。なぜなら投機はハイリスク・ハイリターンが基本なので、生活費や直近で使うはずの貯金を投機するべきではありません。余裕資金以外で投機を行うと、生活にも精神的にも余裕がなくなってしまう可能性があるからです。
投機は基本的にオススメしていませんが、生活費や直近で使うはずの貯金とは別に、極論を言えば、無くなっても良いくらいの余剰資金かつマイナスになる可能性も理解した上で行いましょう。
・真面目で堅実な人
真面目で堅実な人は投資に向いています。なぜなら中長期目線で投資先を選定し、しっかりと勉強して、商品リスクも理解した上で投資を行うので、目先の利益の増減に踊らされることなく着実に投資を行えるからです。
・他人の意見に流されない人
他人の意見に流されない人は投資に向いています。なぜなら他人の意見を聞いても、自分でしっかりと考えてから、判断することが重要だからです。投資をするのかしないのか、利益を確定するのかしないのかなど結局最後は自分で判断しなければなりません。それができずに他人の意見を鵜呑みにするのは、投資には向いていないと考えられますし、損をする確率も高くなる可能性があります。
・短期で利益を求める人
短期で利益を求める人は投資に向いていません。なぜなら投資は将来の利益を見込み、中長期目線で行うからです。短期で利益を求める場合は、投資リスクも高まり、投資機会を探ることになるため、投機に近いといっても過言ではありません。
・勉強が嫌いな人
勉強が嫌いな人は投資に向いていません。なぜなら投資を行う上で、投資の知識はもちろん、投資先の会社についての勉強も必須と言っても過言ではないからです。投資の知識を身につけなければ投資先をどのような基準で探せばいいのかわかりませんし、投資先の会社のことを何も知らずに投資をした場合、万が一のリスク(例えば株価が急に下がるなど)を回避することも難しくなります。
投機と投資についての違いについて解説しました。両方のメリットやデメリットを理解した上で、どちらを行うかは自分の意思で決めましょう。最後にこの記事の要点をまとめておきますので、ぜひ復習に役立ててください。
・投機とは機械にお金を投じること
・投資とは将来の利益を見込んで資産にお金を投じること
投機のメリット
・運やタイミングが良ければ儲けられる
・短期で利益を得られる可能性がある
投機のデメリット
・運やタイミングが悪ければ損をする
・常に値動きを気にしなければならない
投資のメリット
・少額から始められる
・インフレ対策になる
投資のデメリット
・元本保証がない
・短期で儲けるのは難しい
・投資のほうが投機より安定的に利益が出る可能性がある
・常に値動きを気にしなくて良い
・商品選びによってリスクをできるだけ抑えることができる
投機に向いている人
・常に値動きの監視ができる人
・借金を抱えても良いという覚悟のある人
投機に向いていない人
・資産運用として少しの手間で利益を得たいと考えている人
・余剰資金がない人
投資に向いている人
・真面目で堅実な人
・他人の意見に流されない人
投資に向いていない人
・短期で利益を求める人
・勉強が嫌いな人
投資と投機の違いについてお話しました。違いをわかっていただけたでしょうか?投資はギャンブルではありませんので、怖がらずに自分のできる範囲からはじめてみてください。
本日はここまでとなります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
河野 絵菜 - 文
市川 雄一郎 - 監修
文 / 河野絵菜(こうのえな)
1987年生まれ。大学では文学を専攻。大学卒業後に社会人となった時も低金利時代の日本があたり前だと思っていたが、社会人生活を送るに連れてお金の知識を得ることの重要性を強く感じ、国家検定である3級及び2級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)資格を独学で取得。現在はFP資格で培った金融知識と自らも行っている投資経験を活かし、グローバルファイナンシャルスクール(GFS)が運営する「ゼロから始める投資アカデミー」の人気ライターとして活躍中。
執筆者記事「ゼロから始める投資アカデミー」 https://gfs-official.com/blog/author/kouno_ena
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)公式サイト: https://gfs-official.com/
体験版講座(無料公開中): https://toushi-up.com/
文・監修/市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP®。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)。日本FP協会会員。日本FP学会会員。
1969年生まれ。グロービス経営大学院修了(MBA/経営学修士)。日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。ソフトバンクグループが創設した私立サイバー大学で教鞭を執るほか、金融機関の職員や顧客に対する講義や講演も行う。
「日本経済新聞」「日経ヴェリタス」「朝日新聞」「東洋経済」「週刊ダイヤモンド」などへの原稿執筆・コメント提供のほか、ラジオ日経などのメディア出演も多数。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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