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「彼は私のことキレイって言ってくれる」年下男性との不倫におぼれる40代女性の誤算とは…【不倫の精算・リバイバル#1】(後編)

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目次

【不倫の精算 リバイバル2023】#1 後編

<<前編:夫とはもう離婚したい。彼女が年下の独身者にのめりこむようになったキッカケとは

家庭では尊重してもらえない自分

産休後すぐに仕事に復帰したL子は、もともと仕事が好きだった。同じ会社員として働く夫の収入はあまり多いほうではなく、共働きは必須だったが、それでも「私が稼げばいいことじゃない」と笑い飛ばす力強さがL子にはあった。

ふたりの子どもにも愛情を注ぎ、一見家庭は上手くいっているように見えた。だが、

「私のほうが稼ぎがいいことが気に入らないのよ、うちの旦那。残業で遅くなっても『ご飯が出来てない』『洗濯を干してない』って文句ばっかり。少しは手伝ってもバチは当たらないのにね」

最初は仕事と家事を両立させるためにがんばっていたL子だったが、一向に協力する姿勢を見せない夫に次第に冷めていった。

子どもが小さいうちはまだ会話もあったが、小学校にあがる頃になると手のかかる部分が減り、夫は学校のこともL子に丸投げするようになった。

「こっちは家族を養うために一生懸命仕事してるのにさ、悔しかったら自分も稼げってね」

まるで男のような言い方で、L子は夫を切り捨てる。L子はひとりで朝ごはんの用意から子どもの学校の支度、晩ごはんの準備までこなし、対して夫は淡々と会社に行っては帰宅後寝室にこもってスマホをいじる日々を送っていた。

「離婚しないの?」

多くの友人が、彼女の体調や子どもたちのことを心配した。すると、

「するよ。あの子たちが大学に行ったらね。それまではあの人の稼ぎも必要だし、耐えるつもり」

きっぱりとした口調でL子は言い切り、事実今の結婚生活で夫がいかに協力的でないか、つまり夫婦関係が破綻している証拠をしっかり手帳に書き記していた。

そんな中で、独身者である部下の男性はL子にとって大きな癒やしだった。

あまり要領が良いほうではなく、仕事ではミスも目立つけど決して「悪い人じゃない」。親身に指導しているうちに情が湧き、退社後にふたりで飲みに行く機会が増えてからは、個人的な話もするようになった。

「ひとり暮らしでね、ある日彼の家で飲もうって話になって」

彼と寝た、と報告を受けたときには、L子はすっかり彼の、部下というポジションを忘れていた。

自分の話をちゃんと聞いてくれて、また感謝もしてくれる。メイクや服を褒めてくれるし、ベッドでも情熱的に愛してくれる。

家庭では尊重されない自分が、彼にとっては大切な女性である、と自覚する瞬間が、L子から不倫への罪悪感を奪っていた。

彼とのデートの帰り、たまにこうしてL子から電話を受けることがあった。いつも機嫌よくふたりのことを「報告」してくる裏には、家に帰ればまた虚しい夫婦生活が待っていることからの逃避が垣間見えた。

少しでも、彼との幸せな情事の余韻に浸っていたい。そのためには、彼との時間を反芻させてくれる相手が、L子には必要だったのだ。

 

▶不倫という罪を抱えた事実

「不倫」という罪を抱えた事実

 

だが、L子は大きなことを忘れていた。

彼女が記している「夫婦関係が破綻している証拠」は、夫が週末何も言わずに一日家を空けたり、子どもの授業参観のプリントも目を通さず捨てたりと、確かに夫としてマイナスなことが正しく示されている。

それはいざ離婚するときに夫を黙らせるための大切な記録であったが、その一方で、彼女自身が「不倫」という人の道から外れた関係を持ったことは、みずから不利な状況を用意したことにはならないのだろうか。

そこを突っ込むと、

「うーん……。そうだけど。でも、バレなかったら大丈夫じゃない?」

とL子は笑って肩をすくめる。「バレなかったら、ねぇ」と首をかしげると、続けて

「そもそも、うちの人が先に壊したのよ」

L子は言った。その口調はさっきと違う強い響きがあり、顔を上げるとこちらを睨みつけるL子の視線があった。

私は悪くない。L子の瞳はそう語っていた。

不倫は決して正当化される関係にはならない。たとえ不倫前から夫婦関係が悪かったとしても、それが夫のせいだとしても、「だから」独身の男性と肉体関係を持つことを「良し」とされることはない。

その大きなマイナスを、L子は「バレなかったら大丈夫」で片付けるが、子どもたちが進学して家を出るまでまだ何年もかかる中で、そう上手くいくのだろうか。

いま、彼女は家庭での家事を放棄する時間が増えている。彼と過ごす時間が多い分、それは当然のことだった。夫からの嫌味は止まず、家庭は手入れの行き届かない状態が続いている事実から、彼女は目をそらす。

その自分は、まさしく責め続けた夫と同じように家庭そのものを壊す行いをしていないかと、もう一度L子に問いたい気持ちがあった。

 

仮面夫婦だから不倫に走るという既婚女性は多く、その根底には「好きで不倫したわけじゃない」という言い訳がある。

だが、いずれ離婚を考えているなら尚のこと、みずから立場を悪くするような選択は本来控えるのが正解だ。

夫婦関係を軽んじているのはお互い様であり、もしバレてしまえば、大きな責めを負うのはL子になる。

この誤算に、彼女はいつ気がつくのだろうか。

 

 


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この記事のライター

OTONA SALONE|オトナサローネ

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