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世界的なデザインの祭典[ミラノ・サローネ]。今年は2年毎に開催されるライティング見本市「Euroluce(エウロルーチェ)」の開催年。世界各国から485社もの照明メーカーが新作と共に出展した。日本にも販売代理店がある企業を中心に、その惚れ惚れする輝きや、新しいトレンドなども紹介します。
ヴェネチアンガラスにクリスタル、ハイクオリティの共演
2年に一度、キッチン・バス見本市と隔年で実施される照明見本市「Euroluce(エウロルーチェ)」。
日本ではホテルなど商業施設でしか見かけない“THE シャンデリア”。海外ではお城のような邸宅も少なく無いので、見本市会場でも沢山の新作が輝きを放っていた。
地元イタリア、ムラーノ島のヴェネチアンガラスで世界的に有名なBarovier&Toso(バロビエ・トーゾ)社は必見。
同じく、ムラーノ・ガラスの照明ブランドVENINI(ヴェニーニ)社のブースでは、建築家・安藤忠雄の作品も展示されていた。
そして、フランスからはSaint Louis(サン・ルイ)社。イタリアのヴェネチアンガラスに対して、こちらはクリスタル。ルイ王朝ゆかりの王立クリスタル工房である。
今年筆者の目を奪ったのは、モダンな空間に華を添えそうな新作。
仏人デザイナーNoe Duchaufour-Lawrance(ノエ・デュショフール・ローランス)による、“Forest(森)”からインスパイアーされたライティング・ファニチャー(記事のメイン写真もSaint Louis社)。シンプルな白木が、クリスタルの輝きを引き立たせるデザイン。
次なる“THEシャンデリア”は、スペインが誇るポーセリンアートのLLADRO(リヤドロ)社。陶器の人形が有名だが、照明のファンも日本に多い。
シャンデリアの素材もポーセリアン(陶磁器)で、柔らかな雰囲気がガラスとはまた違った魅力がある。
天井から降るようなライティング、なんと陶磁器で作られた羽を広げた天使たち!
照明も素材で勝負!石・金・木・紙…素材の競演、まずはイタリアらしく大理石(カラーラ・ビアンコ)を照明に加工したプロダクト。
金粉をガラス加工し光らせた照明。
この素敵なテーブル・スタンド、傘はアルミ製。木目のような立体的な柄は、アルミを何層かに重ねて成形されたもの。デザイナーはスイスの建築家ユニット、Herzog & de Meuron(ヘルツォーク&ド・ムーロン)。北京オリンピックスタジアム“鳥巣”や東京のプラダ青山店を手がけた著名建築家のデザイン。
木を素材にした作品は多いが、この薄くスライスした木で折った紙飛行機ならぬ“木飛行機”は面白い!
布製のように見える傘は、セラミック製。一つ一つ陶芸のように手作業で作り上げる。
プラスチック製の人気家具ブランドKartell(カルテル)は、照明ラインも新作プロダクトが豊富。
シリコンやアルミの照明用メッシュを開発し、照明器具として提案するarturo alvarez(アルトゥーロ·アルバレス)社から、こんな発想の照明も!
トップデザイナーたちは照明デザインにも引っ張りだこ!今年は家具の人気ブランドB&Bでも存在感を放っていたPiero Lissoni(ピエロ・リッソーニ)、アウトドア照明の展示で遭遇した。
このFLOSには有名デザイナーとのコラボ作品が並ぶ、他にもPhilippe Starck(フィリップ・スタルク)・Konstantin Grcic(コンスタンチン・グルチッチ)・Barber & Osgerby(バーバー&オズガビー)・Vincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン)などに加えて、今年は日本のnendoも加わった。
nendoは北欧デザイン照明のlouis poulsen(ルイス・ポールセン)でも見る事ができた。
こちらは、数々のアワードを受賞しているイタリアの照明デザイナー、Davide Groppi(ダビデ・グロッピ)。
実は昨年、日本のキッチンメーカー sannwacompany(サンワカンパニー)のミラノ・サローネ展示で印象的だった照明もGroppi氏のデザイン。
家でのライフスタイルが、家族で集まるシーンより“個(パーソナル)”のシーンが中心となり、パーソナル家具の新作が充実していた。それに合わせたポータブルな照明も求められている。
技術的には充電システムの小型化により、ポータブルな(手軽に持ち運べる)照明が可能になった。
この他、前回の記事【速報】ミラノ・サローネ2017[上]で紹介した、ルイ・ヴィトンにnendoがデザインした照明も革製のポータブル・ランプだった。
更に技術的なトレンドでは、リモートコントロール・システムがどんどん進化。各社アプリによる、タブレットやスマホを使った調光や角度を変えるデモが見られた。
これは、自動で開閉する壁照明。動画でどうぞ……
照明にもIotの流れでスマート・ライティング化が進む。デザイン先行のイタリアはテクノロジー分野に弱いと言われるが、大手メーカーでは未来型の技術展示も見られた。
こちらは、Hybrid light「Harry H.」と名付けられたペンダント。
4枚のOLED(organic light-emitting diode、有機EL)板は0~35°に開いて照らす方向を変えたり、OLEDの消灯時は上部のLEDが発する光を反射させる機能もある。OLEDとLEDのハイブリッドで更なる省エネに取り組む。
今回の「Euroluce」展、中世から受け継がれるガラス技術から、未来へつながるOLEDまで。一気に1000年の時を駆けるような照明の世界に、その奥深さを満喫することとなりました。
最終回[下]では、ミラノ・サローネで感じた様々なトレンドを一気に紹介したいと思います!
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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