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賃貸管理のプロに聞く[1] 入居後のトラブルで一番多い「騒音」問題の解決方法とは

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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賃貸管理のプロに聞く[1]入居後のトラブルで一番多い「騒音」問題の解決方法とは

気に入ったお部屋を見つけてお引越しも完了。これから新生活を楽しもう!と思ったら……。実際に暮らしてみて初めて分かる住まいの問題点は案外多いもの。まずは一番多い「騒音」について考えてみましょう。【連載】賃貸管理のプロが賃貸住宅の困りごとを解決
賃貸仲介・管理の現場に20年以上携わっているプロが、賃貸物件に住む人から相談の多い事例と解決方法をご紹介する連載です「騒音」の悩みを何とかしたい! 解決方法はあるの?

ひとくくりに「騒音」と言っても、さまざまなものがあります。足音や声という人の発する音、扉の開け閉めやイスを引きずる音などの生活音、楽器の演奏やテレビ・ゲームなどの音、等々。賃貸住宅に暮らす方の生活スタイルが多様化し、生活時間帯がバラバラになったことも、騒音トラブルが増えた原因だと思います。

音がどこから響いてきているのかは案外分かりにくいですし、万一音の出所が分かっていたとしても、新しく引越してきた身で注意はしにくいもの。そういうときはわれわれ管理会社か、管理会社が入っていない建物であれば大家さんに相談してください。私たち管理会社にとっては、騒音の相談を受けない日はないというくらい、日常的な事柄なのです。
相談を受けると私たち管理会社は、過去の経験から音の原因を推測したり現地調査をしたりしながら、相談元と騒音元の間に入って解決方法を一緒に考えます。

賃貸住宅で実際に起こった騒音トラブル・ケーススタディ

賃貸住宅で起こる騒音トラブルとその解決方法は多種多様です。私が過去に経験したものの一部を挙げてみます。

「今までうるさくなかったのに、急に上階の足音が気になるようになった」という相談では、調べたところ、上階の社宅の入居者さんが、痩せ型の理系男性から元ラグビー選手の大柄な男性に入れ替わっていたことが分かりました。そこで、上階の方には底が厚めのスリッパを用意して、かかとからドスドス歩く歩き方をやめてもらい解決しました。

「深夜のステレオの重低音が気になる」という相談では、オーディオ装置の下に溝のあるタイプの免振ゴムをたがいちがいに2重に敷いて、振動を軽減して解決しました。

「上階の子どもが遊ぶ家庭用ゲーム機の音がうるさくて眠れない」という相談では、ゲームを行っても良い時間を取り決めし、その決められた時間内については下の方にも我慢していただきました。

「深夜に、謎の断続的な機械音がして気になる」という相談では、ダイエット用の運動器具を使う音だと言うことが判明し、器具の下にマットを敷いていただいて解決しました。

「隣室の夫婦喧嘩がひどい」という相談では、直接注意したら、残念ながらそのご夫婦が退去されてしまったこともあります。

騒音の原因も違えば対策も違い、人の感じ方で妥協できる範囲も違うので、解決までの道のりは結構大変です。間に入る私たちも毎回試行錯誤を重ねながら対応していますので、自然と経験値が上がるのだと思っています。

実力行使は危険! 事件に発展する場合も

騒音に関するご相談で時々あるのが、騒音元の方と既にもめ事になってしまっているケースです。隣の部屋のテレビの音がうるさい、上の階の部屋の人が扉を閉める音がうるさいなどと感じたときに、壁を叩いたり天井を突いたりしてしまう人がいらっしゃるのです。

ひどい例では、夜中の騒音に耐えかねて相手の玄関前まで押しかけ、怒りに任せてインターフォンのボタンを連打してしまった男性もいらっしゃいました。相手は一人暮らしの若い女性だったために、夜中にテレビモニターに映る知らない男性(しかも何やら怒っている!)の姿に怯え、泣きながら弊社のコールセンターに電話がかかってきました。

同じように、隣室の騒音に対して我慢の限界を超えてしまった方が、「インターフォンを押しても出ないから」と言う理由でバルコニーを乗り越えて隣に苦情を言いに行ってしまったこともあります。ここまで来ると逆に警察を呼ばれてしまうような事態です。

ここまでひどいケースはまれですが、既にお互いの感情がこじれてしまっている状態で相談されても、騒音の対応に慣れている私たちですら話し合いをうまくすすめることが出来ません。実力行使はせず、悩んだらまずは管理会社や大家さんに相談してください。

「騒音」の悩みを相談するにもコツがあります

わざわざ管理会社や大家さんに相談するからには早期に解決したいのが当たり前だと思いますが、実は相談するときにはコツがあるのです。

「いつ」「どの辺りから」「どんな音が」「どんな頻度で」聞こえてくるのかをしっかり記録して、それを私たち管理会社に伝えてください。文章でまとめていただき、われわれが又聞きにならないようにしてくださると、なお良いです。音の種類によっては録音できるため、動画や音声データで提出してくださる方もまれにいらっしゃいますが、どんな音かはっきり分かるのでとても助かります。

【画像1】イラスト/藤井昌子

【画像1】イラスト/藤井昌子

騒音を解決するには音の発生原因を突き止めなければなりませんが、私たちもそこに住んでいる訳ではないですし、お部屋にお邪魔して24時間待機するわけにもいきません。

騒音注意のチラシを配布したり、その建物に住んでいるほかの方々に聞き込みをすることも多いのですが、実際に自分が聞いていない音について調べなければならないのはかなり難しい仕事なのです。どんな音かが具体的になればなるほど、実際に起きている音の種類が相手にも伝わり、同じ種類の音を聞いたことのある方や、音の原因に心当たりのある方が見つかりやすくなります。

犯人探しが目的ではない。音が止むのを最優先に

騒音に悩んでいる方の一番の望みは、その騒音が止むことのはず。しかしながら時々、騒音の原因探しや犯人探しにやっきになってしまう方がいらっしゃいます。長期間騒音に悩まされ続けた場合に、そうなってしまう方が多い気がします。

私たちが騒音の原因を探す場合、相談者の方の証言をじっくりお聞きして、ある程度原因に予測を立ててから周辺のお部屋に聞き込みをすることも多いのですが、対応の上手な管理会社の社員ほど「あなたが音を立てていませんか?」という尋ね方はしないものです。「こういう音でお悩みの方がいらっしゃいますが、同じような音を聞かれたことはありますか?」とお尋ねします。

それに対する相手の受け答えによっては長年の勘で「ははーん、この人が騒音の原因だな!」と分かるときもあるのですが、私たちはそこで相手を深追いはしません。なぜなら、犯人探しが目的ではないからです。その方が騒音の原因で、ご自分でもそのことに心当たりがあり、自分の出す音で苦情が出ていると分かれば、自然と気を付けてくれるはず。実際にそれ以来音が止むということも数多く経験しています。

これからも同じ建物で生活していく方のプライドを無駄に傷つけても得はありません。平和に解決できるなら、それに越したことはないのです。

自分が相談したことが相手に分かってしまうことも

騒音の原因となっている相手が分かっていて、それを注意してほしいと頼まれる際に本当によく言われるのが「自分が苦情を言ったことが相手に分からないようにしてください」ということです。
ご近所なので気まずい気持ちはとても分かりますし、私たちもなるべくご希望に沿うようにはするのですが、部屋と部屋の位置関係(騒音元と接しているのが相談元のお部屋しかないケース)や、騒音の種類(子どもの走る足音がうるさいなど、一番被害がありそうな部屋が分かりやすいケース)によってはどうしても相手に相談元が分かってしまう場合もあります。

また、騒音の原因が日常生活で出る音の場合は、何度か話し合ってお互いの妥協点を見出していくことになることが多いので、騒音元の方も相手が分からないと嫌な気分になってしまいます。これは逆にご自分が騒音元だと言われた場合を想像すると、イメージしやすいのではないでしょうか。
私たちが間に入ってお話し合いをするとしても、片方がいつまでも匿名のままでは相手に感情的なこじれが生じてしまい、なかなか話し合いが進まないのです。

騒音の悩みを解決するためには、「相手に自分が相談したと分かっても良い」という覚悟が必要になるときもあるのだということを、ぜひ覚えておいてください。

私たち管理会社には毎日さまざまな騒音の相談が来ますので、その解決方法も含めて経験値が自然に蓄積されていきます。それでもすべての騒音トラブルが解決するかというとそうではなく、騒音元にまったく自覚がなかったり、赤ちゃんの泣き声など止めようと思っても難しいケースもあります。騒音トラブルの解決には、多少の妥協が必要になる場合も多いのです。

文字どおり、“一つ屋根の下”に暮らしているのですから、もしかすると将来こちらが相手に別の件で迷惑をかけることもあるかもしれません。共同住宅で快適に暮らすコツは、おたがいさまの気持ち、寛容な気持ちなのだと、この仕事に長く従事している私は常々思っています。

伊部 尚子伊部 尚子 賃貸住宅での暮らし応援団
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。●「賃貸管理のプロに聞く」記事一覧
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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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