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大京と穴吹工務店がパワーカップルに関して、リクルートが賃貸契約者に関して、それぞれ住まいの価値観などを調査した結果を公表した。共通する結果となったのは、省エネ設計や断熱性、防災性などの住宅の性能に関する関心が高まっていることだ。それぞれの結果について詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「パワーカップル500人に聞く、住まいと暮らしの価値観調査」(1都3県)/大京・穴吹工務店
「2023年度 賃貸契約者動向調査」(全国)/リクルート
大京と穴吹工務店が調査したのは、1都3県に住む世帯年収1200万円以上をパワーカップルとし、マンション購入意向がある500人。パワーカップル以外の500人にも比較するために調査をしている。
その結果を見ると、パワーカップルは共働きである影響からか、それ以外と比べると、住まいに「家族と一緒の時間を過ごす」「自分の家族の安心・安全を守る」といった役割をより求めていることが分かる。
あなたにとっての住まいの役割(上位10項目)(出典:大京・穴吹工務店「パワーカップル500人に聞く、住まいと暮らしの価値観調査」より転載)
また、パワーカップルに「住まいを選ぶ際に重視すること」について、“今の住まいで重視したこと”と“次の住まいで重視したいこと”を聞いて比較したところ、「省エネ設計」、「将来的な資産価値」、「エネルギー備蓄などの防災性」、「耐震性」、「断熱性」で、その差が大きいことが分かった。これからの住まいを考えるにあたって、住宅のさまざまな性能や将来の資産価値などを重視していることがうかがえる。
パワーカップルがこれからの住まいを選ぶ際により重視することトップ 10(今の住まいとの差分順)(出典:大京・穴吹工務店「パワーカップル500人に聞く、住まいと暮らしの価値観調査」より転載)
賃貸住宅契約者は防災賃貸住宅に魅力を感じる人が多い次にリクルートの調査を見ていこう。調査対象は、2023年度(2023年4月~2024年3月入居)に賃貸物件を契約した全国の3997人だ。
まず、「魅力を感じるコンセプト賃貸住宅」について聞いている。コンセプト賃貸住宅とは、特定のコンセプトをもった賃貸住宅のことだ。その結果を見ると、「防災賃貸住宅」が35.1%で最も高く、次いで「デザイナーズ賃貸住宅」(29.0%)、「子育て世帯向け」(24.6%)、「ZEH賃貸住宅」(23.0%)の順となった。
防災賃貸住宅は、備蓄倉庫・蓄電池などの災害対応力の充実した物件。デザイナーズ賃貸住宅は、建築家やデザイナーによって特色ある設計がなされた物件。子育て世帯向けは、キッズスペースがある、建物全体で子どもの安全に配慮するなど、子育て向けに設計がなされている物件。ZEH賃貸住宅は、高い断熱性を持ち、省エネ性の高い設備と太陽光発電などの設備を搭載した物件。いずれも明確な定義があるわけではないが、一般的にこのようなものとされている。
魅力を感じるコンセプト賃貸住宅(上位10項目)(出典:リクルート「2023年度 賃貸契約者動向調査(全国)」より転載)
次に、ZEH賃貸住宅に魅力を感じると回答した人に対して、「ZEH賃貸住宅で魅力を感じる点」を聞いたところ、「光熱費が抑えられる」と回答した人が63.0%と最も多く、次いで「結露やカビを抑制できる」(55.5%)、「売電収入が居住者に還元されることがある」(54.0%)、「遮音性が高くなる」(52.7%)、「停電など災害時に強い」(49.6%)が続いた。
「ZEH賃貸住宅」で魅力を感じる点(「ZEH賃貸住宅」に魅力を感じると回答した人対象)(出典:リクルート「2023年度 賃貸契約者動向調査(全国)」より転載)
光熱費の抑制や売電収入などの経済的なメリットを感じる人が多い一方で、太陽光発電などで災害時の停電などに対応できることを挙げた人もいて、防災への関心の高さもうかがえる。
災害の甚大化が防災意識や省エネ意識を高めた?いずれの調査結果を見ても、住宅の持つ性能の高さを重視する傾向が強いということが分かる。
調査を実施したリクルートのSUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長 池本洋一氏は、近年の災害の甚大化などが背景にあると指摘する。
リクルートの調査では、40.2%が住まい探しの際に「ハザードマップ」を利用したと回答しており、なかでも、大規模災害を経験した地域やリスクが高いとされる地域で顕著であることから、地震被害や水害などの影響が色濃く出た結果だという。
新築マンションや新築一戸建てなどの分譲住宅では、価格の上昇に伴い、付加価値をつけて販売する傾向があるため、防災対策などに配慮した住宅も増えている。しかし、賃貸住宅では、コストのかかるZEHや防災対策などを備えようという賃貸オーナーは多くはない。
池本氏は「新築だけでなく賃貸住宅を含めて、防災・減災設備の充実や、省エネ化や再エネ化に取り組んでいくことは、オーナー、入居者双方にとって有益である」という。
さて、今回の調査に限らず、住まいの基本性能を重視する傾向がうかがえる調査結果は多い。性能が高くなるとコストアップするが、それでも性能の高さで得られるメリットが大きいと思う人が増えているのだろう。
省エネ性の高い住宅なら、効率的な冷暖房による光熱費の削減や寒暖差が抑えられる快適性が得られる。省エネ性の高い窓ガラスは低いものよりも遮音性が高くなる。ZEHで求められる太陽光発電や蓄電池などは、光熱費の削減に資するだけでなく、災害時の備えにもなる。メリットは確かに多い。
異常気象による猛暑、高まる地震のリスクや水害の甚大化などを目のあたりにして、住宅の基本性能の高さを求めることは、当然のことなのかもしれない。
●関連サイト
大京・穴吹工務店「パワーカップル500人に聞く、住まいと暮らしの価値観調査」
リクルート「2023年度 賃貸契約者動向調査(全国)」
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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