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「一平ちゃん」、「U.F.O.」、「ペヤング」……。
いまや多くの日本人にとって、物心ついた時から身近にあったインスタント食品、カップ焼きそば。誰しも一度は食したことがあるだろう。
近ごろ、そんなカップ焼きそばの作り方にフィーチャーした本が話題を集めている。
それがこちらの『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』だ。
どんな内容かといえば、タイトルそのまんま。
太宰治、夏目漱石、芥川龍之介といった文豪から、村上春樹、林真理子、星新一などの人気現代作家、星野源、小沢健二らミュージシャン、『週刊文春』『POPEYE』といった雑誌類、はては「国語の問題」「迷惑メール」まで。さまざまな文体、形式で書かれた「カップ焼きそばの作り方」が、ただひたすら列挙されている。
この本が生まれるきっかけとなったのは、村上春樹の大ファンだという作者・菊池良氏による、こんなツイートだった。
もし村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら。
もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある「作り方」を書いたら。 pic.twitter.com/La376O749Y
— 菊池良⚡『もしそば』11万部 (@kossetsu) 2016年5月15日
これが世の文学好きの心をつかんだのであろう、3万リツイートを超える結果に。同様に、他の著名作家の文体でカップ焼きそばの作り方を書いてみたツイートも続出し、まとめサイトまで作られるバズりっぷり。
約1年後に満を持して、言い出しっぺである菊池良氏と神田桂一氏が、村上春樹を含む100パターンの文体を新たに書き下ろし、書籍化へと相成ったのだ。
発売後は即重版決定、2017年10月現在で11万部突破となる大ヒット。
人気ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル&ギターであり、作家としてもその才能を発揮している尾崎世界観氏は「切実に馬鹿だから、なんかもう泣けてくる。」という推薦文を贈った。
本のプロである書店員の間でも話題の的。某大手書店の文学担当者も「『うんこ漢字ドリル』と双璧をなす企画のバカらしさ、でもバカもここまで徹底すれば立派な作品」と賛辞の言葉を漏らしている。
↑もし手塚治虫が太宰治を描いたら…を田中圭一が描いたら
前置きが長くなったが、そんな今年のヒット本『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(略して“
もしそば”
)の最新書き下ろし作が到着した。
もしもモデル・タレントの滝沢カレンがカップ焼きそばの作り方を書いたら!
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カップ焼きそばの甘い香りに私は気付こうともせず、ましてや屋台群のパッタイの強烈なナムプラーの香りにやられ、それすらも当然の食事として受け入れてしまえるような世界の片隅、バンコクから、私はそれらを眺めて今すぐにも食べたいという欲求を抑えながらランチを迎えています一連、私は仕事でカップ焼きそばを作ろうと思っています。
初めてのカップ焼きそばだというのに、まだ、ふたを開けてかやくとソースを取り出しただけですので、何も言うことはありません。食べるのが楽しみで楽しみで。浮かれている場合じゃありません。絶対見たほうがいいと思うので、時が来たらいいます。何のテレビだ、何のテレビだとはしゃがないでください。
湯切りも終わらせなければなりませんでした。カップ焼きそばの、誰が作ったんだと毎回突っ込みたくなるようなプラスチックのカップにまんまと私の美意識は吸収され、見惚れて、かやくとソースを取り出せば、麺の描く曲線にかっこよさを感じてしまいます。
カップ焼きそばを知っていながら、自分で焼きそばを作るなんて考えることではありませんね。そんな一日でした。
#カップ焼きそばとの相性がいいなんて羨ましいな
#カップ焼きそばのほうが手作りよりおいしい現実
#カップ焼きそばをつくりたいと思わない人はいないだろう
#世界が成長する中でカップ焼きそばの成長なんてちっぽけにも程があるが
#すぐに世界の大きさを理由にするのではなく
#カップ焼きそばの真の大きさを感じていたい。
#一平ちゃん
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滝沢カレン氏の笑顔とカップ焼きそばのセルフィー(inバンコク?)が目に浮かぶかのような、独特な作り方説明文。そこはかとなく漂うおかしさに、気づけば数回読み返してしまうことは必至だ。
そして、この「もしそば」では第2弾の出版に向けて「『今度はあの人の文体で読みたい』リクエストキャンペーン」を開催! 今作には収録されていない別の文豪、著名人、文体など、著者へのリクエストを受付中だ。
採用された場合は、巻末に特別協力者として名前が載っちゃうかも!?
応募締切は2017年10月31日(火)。
日本全国、空模様が怪しそうな今週末は買い置きのカップ焼きそばを食べながら、「作り方」リクエストを考えてみては?
この記事のライター
宝島オンライン
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