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刺青にそこまで偏見を持っているわけでもないが、「あのつらい経験を忘れないために刻んだ」「重大な決意の証として彫った」みたいなことをいっているのを聞くと、もっとシンプルに素直に、ただかっこいいから入れたかった、でいいじゃないとも思う。
深い理由は後付け、もっともらしい物語を刺青のために作った、とも感じてしまう。ファッションだと明るくいえる人もいるし、本当にすごい決意や覚悟を持った人もいるけど。
でも入れてる当人が、刺青は何か物語も背負わなきゃいけない、軽い気持ちで入れたとは思われたくないと、かっこつけたり妙に言い訳を作ったりする場合もあるんだわ。
かつての先輩に、いろんな資格を取るのに必死な人がいた。でも、それを活かす仕事をするつもりはない。お見合いの釣書に並べ立てる、それが最大にして唯一の目的。
あと、うちの父親は昔からワープロやパソコン、スマホといったものが出回ると飛びつくんだけど、すべて机の上に置いたまんま、さわりもしない。持った時点で満足して終了というか、それを使って何かをしたい、というのは最初からないのだ。持ちたいだけ。
ちなみに、資格を取りまくってお見合いしまくった先輩は、妻子ある年配男性の愛人になった。それでも先輩は、いつでも条件のいい見合いに臨めると信じ続けていた。
うちの父親に、持ってるだけじゃスマホがもったいないとぎゃあぎゃあいったら、おぼつかない手つきでラインを始めたが、「しまちゃげ」とか謎の言葉を送ってくる。「志麻ちゃん元気か」と打とうとしたのだなと、娘にはわかってしまうけどね。
長い前置きだが、つまり浮気ってのもそういうものである場合が多いのよ。
「思いがけず、魅力的な人に出会ってしまった。決まった相手がすでにいる今の自分の立場では、それはいけないことだとわかっていながら、どうしようもなかった」
という真剣で苦しいそれももちろんあるが、だいたいの浮気者は相手はその人でなくてもよく、さらには誰でもよかったりして、とにかく浮気って行為そのものをしたいのだ。
その人に出会ったから浮気したんじゃなく、浮気したいところに適当な誰かが現れるの。
あれが食べたいんじゃなく、何でもいいから食べたい。常に腹を減らしている人、それが浮気を繰り返す人である。決して、恋多き人などではない。
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OTONA SALONE|オトナサローネ
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