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築40年アパートの窓から隙間風が……どうしたらいいかYKK APに聞いてきた

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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築40年アパートの窓から隙間風が……どうしたらいいかYKK APに聞いてきた「窓からの隙間風」で冬の寒さが半端ない!! どうしたらいいかプロに聞いてきた

まだ寒さが残る季節。「暖房をつけても部屋がなかなか暖まらない……。よく見たら窓の隙間から風が入ってくる!」という人もいるのではないでしょうか。これ、実は友人Kさんの実体験。困った彼女から話を聞き、なぜ窓に隙間ができるのか、どうしたら隙間風を防げるのかについて調べてみました。
窓に問題が? 隙間風の原因を探る!

「わが家は築40年位の古い賃貸アパート。窓からの隙間風で、冬の寒さが半端ない。どうしたら改善できるの?」という友人Kさん。筆者も以前から疑問を抱いていたので、隙間問題について調べてみようと思い立ちました。
一口に窓といっても、さまざまな形状やタイプがあるので、ここでは、築10年以上の賃貸住宅などで一般的によく使用されている「引き違いタイプのアルミ窓」に絞って考えます。

お話を伺ったのは窓メーカーのYKK AP。新宿にあるショールームを訪れ、商品品質管理部・小林啓一さん、お客様センター・尾方善幸さんのお二人に、窓の構造と隙間風対策について詳しく教えていただきました。

【画像1】一般的な2枚建ての引き違い窓。「障子」に取り付けられた気密部品が隙間をふさいでいます ※フレームにガラスをはめた建具は「障子」という呼び名が建築業界では一般的ですが、分かりづらいのでここでは「窓」と呼びます(取材を元に筆者作図・窓の画像提供/YKK AP)

【画像1】一般的な2枚建ての引き違い窓。「障子」に取り付けられた気密部品が隙間をふさいでいます ※フレームにガラスをはめた建具は「障子」という呼び名が建築業界では一般的ですが、分かりづらいのでここでは「窓」と呼びます(取材を元に筆者作図・窓の画像提供/YKK AP)

「まず、前提として知っていただきたいのが、引き違い窓は閉め切っていてもわずかな隙間があるということ。窓にはゴム製パッキンなどの部品(気密部品)が取り付けられていて、隙間をふさいで気密性を保つ構造になっています。これは完全に空気の出入りを遮断するものではなく、断熱窓や防音窓のような高性能窓でも、ごくかすかな空気の移動があるものなのです。しかしそれは部屋の快適性を阻害するほどの性質の物ではありません」(小林さん・以下同)

「ただし、窓にガタつきなどの不具合や劣化が生じてしまうと、風がスースー入るのがはっきり分かるほどの状況になります。その原因は下図のようにいくつかあり、隙間を解消するには、窓の建て付け調整などが必要になります。状態によってはご自身で隙間を直すことも可能です」

【画像2】「自分でできる調整1・2・3」の調整方法は次章以降で紹介します。自分で調整するのが難しいときや困ったときは、プロに相談すると安心です(取材を元に筆者作図)

【画像2】「自分でできる調整1・2・3」の調整方法は次章以降で紹介します。自分で調整するのが難しいときや困ったときは、プロに相談すると安心です(取材を元に筆者作図)

【自分でできる調整1】「戸車」の調整で傾きを直す

「戸車の高さ」が原因で窓に隙間が生じるケースは多々見られるそうです。
「画像1にあるように、窓の下部両端には、窓がレールをスムーズに走行するための車輪状の部品=戸車が付いています。開閉時にガタついたり、閉めても窓と窓枠に隙間ができるのは、戸車の高さが合っていないことが考えられます」

●まず、建具の「窓」の傾きを目と手で確認する
「窓の傾きを確認するには、隙間があるか目で見る方法と、窓を手で押して隙間の有無を確認する方法があります(下図)」

【画像3】左:傾きはここまで顕著ではありませんが、まず目視で確認を。右:傾きが確認できなくても、手で押してみてガタつきがあれば、隙間があります(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

【画像3】左:傾きはここまで顕著ではありませんが、まず目視で確認を。右:傾きが確認できなくても、手で押してみてガタつきがあれば、隙間があります(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

●左右の戸車の高さを調整して、窓を水平にする
「窓と窓枠の隙間が確認できたら、戸車を調整します。窓の左右両側下に調整用のネジ穴があるので、プラスドライバーでネジを左右いずれかに回して戸車を上げ下げし、障子の傾きを調整します(下図参照)。これで傾きによる隙間がなくなります」

【画像4】穴が2つあるタイプは片方が戸車の調整用です。形状は製品によって異なります。よく分からない場合は販売店や窓メーカーの相談窓口に確認してから調整してください。調整時には内部のネジを完全に外さないよう要注意。部品が外れて元に戻せなくなる恐れがあります(画像提供/YKK AP)

【画像4】穴が2つあるタイプは片方が戸車の調整用です。形状は製品によって異なります。よく分からない場合は販売店や窓メーカーの相談窓口に確認してから調整してください。調整時には内部のネジを完全に外さないよう要注意。部品が外れて元に戻せなくなる恐れがあります(画像提供/YKK AP)

【自分でできる調整2】「クレセント錠」のズレを直す

「クレセント錠をロックしても窓がガタついたり、ロックしにくくなったときには、『クレセント本体』と『クレセント受け』の位置が合っていない可能性があります。位置が合わないと、窓が傾いて左右に隙間が空いたり、『召し合わせ部』(画像1参照)がピッタリ合わず、隙間が生じます。クレセント本体・受けのいずれかの位置を調整して隙間を解消しましょう」

●「クレセント本体」を上下に調整

【画像5】形状は製品によって異なるので、わからないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

【画像5】形状は製品によって異なるので、わからないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

●「クレセント受け」を上下に調整

【画像6】形状は製品によって異なるので、分からないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

【画像6】形状は製品によって異なるので、分からないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

【自分でできる調整3】隙間調整部品を調整する

「窓の下部とレール上にある風止板の隙間を調整するために、『下部摺動片(かぶしゅうどうへん)』という部品が使われています(※)。ここの隙間が広すぎると、外から風や雨が入ってくるので、状態を確認してください。下部摺動片の近くに調整ネジがあるので、上下させて隙間を防ぎます」
※隙間調整部品がない窓もあります。また、名称は「下部摺動片」「気密ピース」などとメーカーによって異なります

【画像7】黒いゴム(または樹脂)状の部品が「下部摺動片」。形状は製品によって異なるので、分からないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

【画像7】黒いゴム(または樹脂)状の部品が「下部摺動片」。形状は製品によって異なるので、分からないときは窓メーカーの相談窓口などに確認しましょう ※部品落下の恐れがあるので、ネジは絶対に外さないでください(取材を元に筆者作図・画像提供/YKK AP)

思ったより簡単! でも、うまく調整できなければプロに依頼!

「自分でできる調整1・2・3」をショールームで行いましたが、調整自体は、プラスドライバー1本で至極簡単にできました。そして帰宅後、自宅の窓でも試してみましたが、こちらも簡単に行えました。

ただし、これはショールームで確認した窓と自宅の窓で、それほどタイプに違いがなかったからできたこと。製品やメーカーによっては調整ネジの位置や部品の状態が異なるので、どこを調整すればいいか分からないという場合も考えられます。そんなときは、品番を確認して、窓販売店や窓メーカーの窓口で相談してから調整を行うと確実です。不安な人は自分で行わず、プロに依頼をするのがよいでしょう。

【画像2】で紹介したように、気密部品の劣化、建物のゆがみなど、自分で調整できない状態のものは、最初からプロにお任せすることを考えましょう。
気密部品(ゴム製の部品など)が劣化している場合は、窓を閉め切っていてもそこから隙間風が入り放題です。持ち家なら、販売店や窓メーカーの窓口に相談して、部品の交換などの修理を依頼しましょう。
賃貸の場合は、大家さんや管理会社の負担で修理を行ってもらいましょう。契約内容によって、修理依頼に応じてもらえない場合は、大家さん了承のもと、自費でプロに依頼したり、市販の隙間テープ等で防ぐ対応などが考えられます。

建物本体のゆがみ等が原因で隙間が空いてしまう場合も同様です。こちらは大掛かりな補修が必要になるので、建築会社や工務店等のプロに相談を。

また、「隙間がないのに風が入ってくる!」というときは、次のようなケースが考えられます。古い窓では、アルミ+単板ガラスという製品が多く、断熱性能が周辺環境に対応できていないことがあります。断熱性能が低いと、外の冷気が窓から室内にかなり伝わります。冷たい空気は重く、足下を流れるように伝わってくるため、これを隙間風と勘違いしてしまう人がいるそうなので、注意が必要です。

この場合は、厚いカーテンで冷気を防いだり、市販の断熱フィルムや断熱シートなどをガラスに貼る方法が考えられます。
持ち家なら、内窓を付けて「二重窓」にしたり、既存の窓枠を活かして新しい窓を設置する「カバー工法」による窓リフォームで断熱性を高める方法もあります。いずれも工期は数時間から半日程度と短く済みます。

さらに、日ごろのお手入れも大切です。
「レールにゴミや砂利が溜まっていると、戸車や気密部材を傷めて隙間風の原因になります。レールは定期的に掃除をしてください」(尾方さん・以下同)

「また、クレセントが本体とクレセント受けがずれたままだと、錠が曲がったり、動かなくなってしまうことがあり、召し合わせ部に隙間が生じたままということにつながります。クレセントが変形してしまったら交換してください。窓の販売店で購入できます」

【画像8】YKK APの小林さん(右)と尾方さん。実物を見ながら、窓の構造や注意点について詳しく教えていただきました(撮影/金井直子)

【画像8】YKK APの小林さん(右)と尾方さん。実物を見ながら、窓の構造や注意点について詳しく教えていただきました(撮影/金井直子)

今回、専門家のお二人に窓の構造と隙間ができる原因を教えていただき、筆者がここ数年抱いていた疑問が氷解しました。「冬、隙間から冷気が入るから、引き違い窓はクレセント錠をかけなきゃダメ」と家族から常々言われて、「窓のどこに隙間が?」と不思議に感じていたからです。錠をかけて召し合わせ部がぴたっと閉じることで、かすかな隙間がふさがれるということに、今回初めて気づきました。
友人Kさんも「窓の調整で隙間風が防げるなんて初めて知った! ぜひやってみる」とのことで、今回の報告を楽しみにしてくれているそう。

この冬、部屋が少しも暖かくならない!と寒さに悩まされている人は、ぜひ、窓の隙間をチェックしてみてください。

●取材協力
・YKK AP 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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