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共働き家庭は「面倒見のいい塾」を選ぶ必要があるといわれます。でも、「面倒見のいい塾」ってどうやって見分けるのでしょう?大手塾でいえば、たとえばどこの面倒見がよくて、どこはよくないのか?緻密な取材をもとに書籍『やってはいけない塾選び』を上梓されたノンフィクションライターの杉浦由美子さんに、お話をうかがいます。
――専業主婦家庭と比べて、どうしても子どもにかけられる時間が少なくなる共働き家庭。共働きは、中学受験に不利なのでしょうか?
塾選びを間違えると、大きな不利になる可能性はあります。ただ、多くの塾は、共働き家庭に対応してきています。
今、中学受験塾は過渡期にあります。
2000年ぐらいから、女性が出産後も働き続けることが普通になりました。その世代の夫婦のお子さんが、中学受験にも参入してきています。
いまだに、それに対応していない塾もあります。実際、2022年に取材していて、未だに一部の塾の幹部たちが「専業主婦家庭」を想定していて、びっくりしました。
ただ、それはあくまでも、一部の塾の話であって、大半の塾は共働き家庭の求める「面倒見のよさ」を提供するようになってきています。
――共働き家庭には塾の「面倒見のよさ」が重要という話は、よく聞きますね。では、共働き家庭に向く「面倒見がいい」塾とは、どんな塾を指すのでしょう?
「面倒見がいい」とは、具体的にいうと、最低限、自習室があって、わからない問題があれば、いつでも講師やチューターに質問ができることだと思います。
授業がない日も塾の自習室で勉強して、わからない問題は講師やチューターに質問に行く。
すると、宿題も全部塾で済ますことができますから、基本、親の負担は軽くなります。
ところが、塾選びの段階で「自習室があるのかな」とチェックするママやパパさんは、そうはいないんですよ。
なぜなら、「自習室がない塾」なんて想像できないからです。
そういった細かいチェックをし損ねることが、塾選びの失敗につながってしまうんです。
『中学受験やってはいけない塾選び』(杉浦由美子(著)、青春出版社、2022/10/20、240ページ、1650円(税込))
書籍『やってはいけない塾選び』では、先輩ママやパパたち58人にインタビューして、「塾選びでどこをチェックすればいいか」をリサーチし、チェックポイントを塾に質問し、回答を本書に載せました。
授業料や通学日数、授業時間など、誰しもがおさえたい情報はもちろんのこと、「自習室の有無」「質問はいつできるのか」「駅の改札まで送ってくれるのか」「振り替え授業はあるのか」といった細かいサービスまで訊いています。
――中学受験塾といえば、いわゆる四大塾、SAPIX(サピックス)、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研が真っ先に思い浮かびます。これらの塾の「面倒見のよさ」を教えてください。
大手塾は生徒数が多いため、ひとりひとりの生徒をきめ細かくみるという点では、個人塾や中小塾にはかないません。
大手塾はある程度、自立した子に向いているのです。
ただ、四大塾もどんどんとサービスを充実させていますよ。
早稲田アカデミーは働くママたちが「共働き向きだと聞いた」といって、選ぶ塾の代表格です。
コロナ化でオンライン授業への切り替えが迅速で注目されましたが、宿題チェックもちゃんとしてくれますし、補講で宿題をみてくれることもあります。
校舎数が多いから一校舎の生徒数が少なく、校舎長がひとりひとりの生徒に目を配ります。小規模校舎だと一クラス数人という場合もあります。
一方、四谷大塚は予習を推奨する塾です。
小学生がひとりで予習をするのは難しいので、以前は、親が横につく必要がありました。
しかし、今は予習ナビという予習用の動画を配信するので手間も減っています。
下位クラスは学生バイト講師に任せる大手も多いですが、四谷大塚は学生バイト講師がいないので、すべての生徒をプロ講師がちゃんと指導します。
次に日能研ですが、早い時期から「塾におまかせ」型をピーアールしてきた塾です。
通塾日数が多いから、「週末、子どもが家に居ない方が家事もしやすいから助かる」と感じるママも多いでしょう。
どの塾もママやパパが積極的に講師に働きかけることで面倒見が変わってきますが、日能研は特にそういう傾向が強く、こまめに相談すると、それにちゃんと応じてくれます。
「うちの子は立方体の切断が全く解けなくて」と話せば、それを気にかけて指導をしてくれるわけです。
手厚さをカスタマイズしたい親御さんに合う塾だといえましょう。
最後にSAPIX(サピックス)ですが、ご存じのように「塾にお任せ」型ではない塾です。
自習室もありませんし、質問がいつでも出来るわけではありませんが、最近はメールでの質問の受付を始めました。
他塾と比べて面倒見がいいとは言えませんが、私は、サピックスは今のままでいいと考えますね。
なぜなら、講師たちがテキスト・テストの作成・授業の準備に専念して、クオリティの高いものを提供しているからです。
ママやパパが学習のフォローできるならば、中学受験における学力は上がっていきます。
「面倒見」よりも難関校に合格することを重視する場合、選択すべき塾でしょう。
――大手塾ではなく、個人塾や中小塾の「面倒見のよさ」はどうなのでしょう? 大手と比べて、授業のレベルが不安ということはあるのでしょうか?
大手塾のメリットは情報をもっていることやITツールの充実などですが、それに対抗すべく、個人塾や中小塾は「面倒見のよさ」を売りにしているところが多いです。
受験を経験したご両親にインタビューしていると、「上の子はしっかりしていたから大手に入れたけれど、下の子は幼くて手がかかるから少数制の塾を探した」というケースがしばしばあります。
書籍『やってはいけない塾選び』ではそういった塾選びの体験談も、具体的な塾名を交えながら、紹介しています。
ある有名講師が「現状、経営が成り立っている塾はどこも優秀」とおっしゃっていましたが、まさにその通りです。
目指すのは同じ中学受験なので、教えるカリキュラムは、どこの塾もほぼ一緒です。
ただ、サービスや塾の雰囲気と合う・合わないはあります。お子さんの性格や親がどこまでフォローできるかで決めるべきでしょう。
――最後に、これから中学受験のため塾を選ぶ共働き家庭に向けて、メッセージをお願いします。
今は、共働きだから中学受験ができない、などという時代ではありません。中学受験するお子さんのご両親が共働きというケースは、珍しくもなくなりました。
ただ、塾との相性は、中学受験の正否を左右する大きな問題となってきます。
たとえば、夜、塾までお迎えにいけない場合は、駅の改札まで送ってくれるか否かはすごく重要なはずです。
そういったサービスを細かくチェックすることが、共働き家庭の塾選びには重要なように思えます。
※中学受験ナビの記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
この記事のライター
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