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子どもがゲームに夢中だと「遊んでばかりだと、成績が下がってしまうよ」などとつい小言が口をつく……そんなことありませんか?それが成績アップが期待できるゲームだったら、親も子もうれしいですよね。
今回は、「マイクラおじさん」こと、日本初のプロマインクラフター・タツナミシュウイチ氏による初の著書『子どもの能力が伸びるマインクラフトの使い方』(ポプラ新書)より、マイクラと学習の関係についての解説をお届けします。
マインクラフトで学んだことは、その後の人生で大きく役に立ちます。マインクラフトで遊んでいると、知らず知らずのうちに、論理的思考力や信頼関係の築き方を身につけられるというのは、前の章で書いたとおりです。今、マインクラフトに費やす時間は、豊かな将来のための種と言ってもいいと思います。花開き、実を結ぶのは10年後、20年後、30年後になるか、それはそのときになってのお楽しみです。
では、今すぐには一輪も花が咲かないのか、一つの実も成らないのかというと、そんなことはありません。
マインクラフトで学んだことは、いつか大きく役に立ちますし、小さくではありますが、すぐにも役立ちます。
マインクラフトで楽しく遊んでいるうちに、気付けば学校での授業を先取りしていた、ということも十分に考えられます。授業に備えての学習は予習と呼ばれますが、マインクラフトの場合は学習というより遊びなので、予習ではありません。お子さんは「予習しなさい」と言われなくても、勝手に予習をしていきます。本章では、マインクラフトが日々の学習にどのように役立つか、教科ごとに取り上げ説明していきます。
マインクラフトでのタツナミの姿。この姿は私の大切な分身でもある。(『子どもの能力が伸びるマインクラフトの使い方』34ページより)
パソコンの画面は平面ですが、マインクラフトの世界は3D空間です。X軸、Y軸、Z軸があって、自由自在に動くには、これらの座標を理解する必要があります。
最初は、目の前にあるものの背後にぐるりと回ってみると、思いの外、奥行きがあったり薄かったりで驚くこともありますが、今見えているのはほんの一面なのだということに、そのうち慣れてきます。
前から見ているだけでは同じ形でも、横に回って見てみるとぜんぜん違うこともあります。
建物を建てるときにも、自然と奥行きを意識します。前から見たらこんな形、横から見たら、後ろから見たら、上から見たら……。
こうやって、空間把握能力を身につけることができます。
空間把握能力は算数でも問われます。
たとえば、正面から見たときに長方形に見える図形には、どんな立体があるでしょうか。直方体かもしれないし、円柱かもしれません。それを区別するには、どこを確かめればいいでしょうか。
今度は、正面から見たときには二等辺三角形に見える図形はどうでしょう。三角錐かもしれないし、円錐かもしれないし、ひたすら分厚い二等辺三角形かもしれません。
平面から立体を類推するというのは、次元を上げる行為です。長方形を直方体にするのは二次元を三次元にする行為です。
実は、積分とはこのことで数学や物理で問われる微分積分の基本的な考え方につながっています。見えている一面から体積を算出するのが積分なので、空間把握能力があれば、積分を理解しやすいはずです。そして逆に、立体から平面へ次元を落とすのが微分です。次元の行き来に慣れていれば、学年が上がって教科書に出てくる微分積分も怖くないはずです。
※画像はイメージです
マインクラフトは日本語化されていますが、それでも、メイン画面にもいくつかの英単語が並んでいます。ということは、プレイしているうちにいくつもの英単語に触れ、教わらなくても、その単語の意味をなんとなく知り、英語の授業で、その答え合わせをする、ということになります。
これだけではありません。
マインクラフトは日本でも人気のゲームですが、プレイヤーは日本の外にも大勢います。そして、たいていのゲームでそうであるように、より多くの、より詳しい情報はネットを介して英語で発信されています。
日本語での情報発信に飽き足らなくなり、英語であればもっと情報を得られるとわかったら、英語をマスターする、とまではいかなくても、翻訳ツールを使ってみようと思うようになるでしょう。
こうして、英語の情報を貪欲に取りに行く姿勢は、英語への苦手意識を払拭するはずです。マインクラフトのために英語を学ぶ、まさにエデュテインメントです。
また、マインクラフトで英語を学べる教材を、イギリスのケンブリッジ大学などが「ADVENTURES IN ENGLISH」というワールドとして提供しています。
陽子・電子・中性子の数を調整し、元素を作成する「元素構成器」。(『子どもの能力が伸びるマインクラフトの使い方』150ページより)
マインクラフトでいつの間にか身につく知識。それが最も多いのは、理科の分野かもしれません。
たとえば、岩石の種類、木材の種類。それまではただの岩や木としか見えていなかったものが、マインクラフトで経験を積むことで、花崗岩や玄武岩、オークやアカシアといった種類に詳しくなり、その特性も理解できるようになります。これらは、覚えようと思って覚えるものではありません。遊んでいるうちにいつの間にか覚えています。
植物を育てることもできます。学校の理科の授業では、朝顔などを育てるのが定番ですが、マインクラフトでは小麦やジャガイモ、ニンジンやサトウキビを育てることができて、それらをパンなどに加工することも、村人が持っている何かと交換することもできます。理科と社会が地続きなのです。
そして、化学実験もマインクラフトではやり放題です。しかも、リスクはゼロ。元素ブロックを使って、化合物を作成したり特殊なアイテムを作成したりと教科書では化学反応式で示されている反応を、ワールドの中で疑似体験できます。
※『子どもの能力が伸びるマインクラフトの使い方』(タツナミシュウイチ著、ポプラ新書)より一部抜粋・再編集※本書はMinecraft公式書籍ではありません。MINECRAFT利用ガイドラインに則って独自に刊行したもので、Mojang社およびMicrosoftは本書の内容に関係ありません。
この記事のライター
マイナビウーマン子育て
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