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夏休み、フルで学童にお弁当を持って行くとなると30食も作らねばなりません。なんとういう試練……!! 今回は「マツコの知らない世界」(TBS系)に“お弁当の世界の人”として出演経験もあり、『学童弁当』(小学館クリエイティブ)の著者でもある野上優佳子さんにお弁当をおいしく楽に作るコツについてお聞きしました。
――お弁当向けの食材についても教えてください。つい肉料理ばかりお弁当に入れがちですが、魚介類で入れても安心、子どもウケもいいものはあるでしょうか?
野上優佳子さん(以下、野上)我が家では鮭、エビ、ちくわの3つが人気でした。特に鮭はみんな好きです。ちくわは生の魚介類よりも早く全体に火が通り、味付けも簡単です。缶詰も私はよく使います。(「お弁当のちくわ」については#2で詳しくお聞きしています)
ほかにも、イワシの蒲焼はそのままお弁当に入れたり、卵焼きに入れたり、素揚げにしたりと万能です。奥の手ですが、うなぎはめちゃくちゃみんな好きですね!
――うなぎが入ってたらテンション爆上がりですね!
■ちくわと野菜のかきあげ冷やしうどん・材料:冷凍うどん(1人分)、めんつゆ(1人分)、サラダ油(大さじ4)・かきあげ 材料:ハム(1枚)、にんじん(2㎝ 約20g)、いんげん(1本)、コーン缶(小さじ1)、薄力粉(小さじ2)、市販の天ぷら粉(適量)、水(適量)・ちくわの磯辺あげ 材料:ちくわ(1本)、青のり(お好みで適量)、薄力粉(小さじ1)、市販の天ぷら粉(適量)、水(適量)① うどんはレンジにかけて解凍し、冷水でしめてから水気をしっかり切る。【かきあげ】② ハムとにんじんは細切り、いんげんは斜めの細切りにする。コーンと合わせて薄力粉小さじ1(または溶いていない天ぷら粉でも可)を全体にまぶす。③ フライパンに油を入れて弱火にかける。②に規定量の水で溶いた天ぷら粉を加え、粉っぽさが残る程度にざっくり混ぜる。スプーンで適当な大きさにまとめてフライパンに入れたら、1㎝程度の厚さに平らにする。④ 火を少し強め、2~3分加熱し、きつね色になってきたらひっくり返し、同様に加熱する。からりとあがったら金網にとって油を切り、冷ます。【ちくわの磯辺あげ】⑤ ちくわは半分の長さにし、さらに縦半分に切る。⑥ ⑤に薄力粉小さじ1(または溶いていない天ぷら粉でも可)をまぶす。規定量の水で溶いた天ぷら粉にお好みの量の青のりを加える。そこにちくわをくぐらせ、④の油でカラッとするまであげる。—————————『学童弁当月~金の5日間×6週間、30日分のマラソンレシピ』(小学館クリエイティブ)より
――脂っこいものが苦手なお子さんには、どんな肉類を使うと食べやすいでしょうか?
野上薄切り肉は火が通りやすいだけでなく、加熱すると油脂も落としやすくなります。豚肉なら、バラ肉よりもロースかもも肉がおすすめです。
ひき肉なら、鶏肉が加熱後も脂っぽくなく口当たりもやわらかいです。鶏のささみは小さいお子さんでも食べやすいですし、調理前に一度全体を軽く叩けばさらに食べやすくなります。
――お弁当のすき間を埋めようとすると、ついプチトマトばかり入れてしまいます。そのほかにもすき間を埋めるのに使える手軽な野菜料理はありますか?
野上私は野菜の素焼きを多用しています。
レンコンやピーマン、にんじん、白かぶ、ブロッコリー、アスパラガスなど、歯応えがしっかりしている野菜をさっと焼いて塩を振るだけです。他のお肉などと一緒に焼いて、すきまに差し込みます。
――すぐにできるのがいいですね。調理がいらない常備菜で、すき間埋めできるものはありますか?
野上我が家では甘酢漬けを常備しています。キュウリやニンジン、セロリ、パプリカなどが多いですね。水気が出ないように、キッチンペーパーでくるんでぎゅっと絞ってからお弁当に入れます。上からゴマを振ってもおいしいですよ!
――暑くてバテがちだったり、疲れていて子どもに食欲がない時におすすめのお弁当メニューも教えてください。
野上我が家の子どもたちをみていると、「カレー味」は香りがいいので食欲が出るようです。
あとは麺類。「ジャージャーうどん」は喉ごしがよくて子どもから人気です。
その他にも、おにぎりを酢飯にしたり、おにぎりの大きさをいつもより少し小さくしても食べやすくなりますよ。
■鶏とブロッコリーのカレーマヨ炒め・材料:鶏むね肉(60g)、塩(2つまみ)、砂糖・こしょう(各少々)、ブロッコリー(3~4房)、オリーブ油(大さじ)・材料A:マヨネーズ(大さじ1)、カレー粉(小さじ1)① 肉は2㎝の角切りにして塩、砂糖、こしょうで下味をつける。ブロッコリーは食べやすい大きさに、茎は固い皮を除き一口大に切る。② フライパンに油をひき、肉を並べ、フタをして中火で1分30秒加熱する。ひっくり返して、ブロッコリーと水(分量外・大さじ1)を加えて、さらに2~3分加熱する。③ 肉に完全に火が通ったら、混ぜ合わせたAを加えて炒め、全体に味をからませる。—————————『学童弁当月~金の5日間×6週間、30日分のマラソンレシピ』(小学館クリエイティブ)より
――夏休みほどではないですが、冬休みも学童弁当が必要になりますね。さっぱりしたものが食べたい夏とは違って、温かいものが欲しい季節には学童弁当に温かいものを持たせたいんですが……。
野上小学3年生ぐらいになって、お子さんだけでフタの開け閉めをしっかりできるようになったら、ぜひスープジャーのお弁当箱も活用してみてください。温かい料理をお昼に食べることができます。
我が家で人気だったのは、あんかけ焼きそばでした!パリパリ麺だけをお弁当箱に入れて、熱々のあんかけをスープジャーに入れて持って行き、食べる時にあんかけをかけるんです。
――おいしそうですね!学童によってはシチューやカレーのレトルトパックを持っていくと、電子レンジで温めてくれるところもあるようです。
野上学童によっては「レトルトデー」を設定して、好きなレトルトパックを温めてくれますね。レトルトデーがあれば、お弁当もご飯とレトルトを持参するだけで済みます。どのレトルトにしようか、ぜひ親子で相談して楽しんでくださいね。
――お弁当に欠かせない「おかずカップ」も最近は色々なものがあるようですが、使い分けされていますか?
野上おかずカップは吸水性が高いものや、深型でほかのおかずと味が混ざりにくいもの、撥水性のいいプラスチック製など色々出ています。色々買ってみて試すと便利ですよ。
あと、おかずカップの代わりにクッキングシートを使うのも便利です。クッキングシートは基本的に蒸気は通すけれども、油と水を通さないという特性があるので、ハンバーグみたいな脂のあるものを入れるのにいいですね。
――シリコン製のおかずカップはどうでしょうか?
野上シリコン製のおかずカップは繰り返し洗って使えるのでエコなんですが、臭いや色がつきやすいという欠点もあります。小さい粒子が結合してできているので、そこに吸着しちゃうんですね。小傷がついて雑菌が繁殖する可能性もあります。だから夏場や梅雨の時期には、使い捨ておかずカップの方が安心です。
食洗機で洗えばシリコン製おかずカップも結構きれいになるんですが、「大丈夫かな、傷みやすくならないかな」と気になるくらいなら、夏の時期だけでもシリコン製じゃなく使い捨てのおかずカップにするといいと思います。
――野上さんはこれまで400箱以上のお弁当箱を使ってきたそうですね。どんなお弁当箱が使いやすかったですか?
野上よく冷えるという意味では、ステンレスのお弁当箱が使いやすかったです。匂いや色移りもしづらく、とても丈夫で保冷剤の効きもいいです。
――衛生管理の上でも便利そうですね!
野上曲げわっぱのお弁当箱も子どもがとても気に入っていました。通気性と調湿性がいいので、ごはんがふっくらしていて硬くならず、食べやすいそうです。曲げわっぱにサンドイッチを入れるのもいいですよ。パンが具材の水気を吸ってベシャッとなりにくかったです。
■お弁当箱・カトラリーの選びかた学童に通う小学校1~3年生が使うお弁当箱のサイズは「400~600㎖」が目安。お子さんが食べられる量に合わせた大きさを選びましょう。▶︎ステンレス・アルマイト・ホーロー製においや色移りがしづらく保冷もよく効くので夏にオススメ。レンジ使用は不可。丈夫で油落ちしやすいのも魅力。▶︎おにぎりタイプ、パン用ケース、わっぱ、バルブ付きなど折りたたみ可能で通気性がいいサンドイッチケース、調湿性が高く長く愛用できる曲げわっぱ、フタをしたまま冷凍してレンジ解凍できるバルブ付きなど、中身に合わせてさまざまな種類があります。最近はおにぎりとおかずの組み合わせをコンパクトに持っていけるお弁当箱も人気です。ほかにも、お手頃価格な樹脂製、取り外し可能な中子付きで丼ものなどに便利な仕切り内蔵型など、さまざまな素材や形のお弁当箱があります。—————————『学童弁当月~金の5日間×6週間、30日分のマラソンレシピ』(小学館クリエイティブ)より
――成長とともにお弁当やカトラリーもサイズアップしますよね。そのタイミングはどうやって決めればいいでしょうか。
野上お家で一緒にお弁当を食べてみるのが、一番わかりやすいと思います。我が家では夏休みの前などに、普段の食事をお弁当箱に入れて親子で一緒に食べて、食べる量を確認していました。
あと、子どもが学童でお弁当を食べるのと同じタイミングで親もお弁当を食べてみると、おかずやご飯が時間の経過とともにどんな味になるかもわかります。作るだけで食べたことがないと、子どもが学童で食べているお弁当の、実際の味や食感がわからないものです。作ったお弁当を大人も実際に食べてみると、「このおかずは冷めてもおいしい」「これは弁当に入れるとイマイチ」など、いろんな発見があります。
――お弁当を通して親子でコミュニケーションが取れるのはいいですね。
――今回、学童のお弁当についてお話をお伺いしてきました。単なる食事でありながらフタを開ける時のワクワク感があったり、お皿に盛られた料理よりもおいしく感じたり……お弁当って奥深いですね。
野上そうですね。私は、お弁当を「おうちの食卓の一部」だと思っています。
食卓にはいろんなものが並びますよね。食べて欲しいもの、食べたいもの、買ってきたお惣菜も並ぶし、手作りのものも並ぶ。そんな「家の食卓」を小さい箱に入れて持ち運ぶのが、お弁当だと思うんです。
朝作ったお弁当をそれぞれ持って出かければ、大人も子どもたちも、違う場所で違う時間を過ごしながらも、いっとき家の食卓に帰ることができる。フタを開けたら我が家に――コンフォートゾーン※に戻って安心させてくれる存在だと思っています。
お弁当の中身が100点満点じゃないといけない、という呪縛から離れて、ぜひお子さんの好きなものを詰めて、一緒にお弁当ライフを楽しんでもらえたらいいなと思います。
(解説:野上優佳子、取材・文:大崎典子)
※コンフォートゾーン(comfort zone):快適でストレスのない心理的に安全な場所
この記事のライター
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