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夏休みが明けると、中学受験をする6年生はそろそろ志望校を絞りはじめる頃。けれど「〇〇中学校に行きたい!」と希望する学校を塾の先生に伝えたら、まったく異なる学校を勧められて……!?意外とあるあるなこの状況、保護者としてどう捉えればいいの?大手塾講師・天海ハルカさんがアドバイスします。
塾との面談などで、志望校と別の学校を勧められることがあります。
すでに確固たる志望校があれば、悩む必要もないのですが、そんなケースは少ないですよね。
まだ迷っている場合は、どこまで塾のお勧めを考えるべきかと悩んでしまうかもしれません。
学校の雰囲気や偏差値など、勧められた学校に納得がいかないときはなおさらでしょう。
塾としてはさまざまな理由でお子さんに合う学校を勧めてきますが、もっとも優先すべきはお子さんとご家庭の意向です。
まずはその場で理由を聞き、納得できなければひとまず「検討します」とだけ言って流してしまってもよいと、私は考えます。
今回は、塾に志望校とは別の学校を勧められたときの考え方についてお話しします。
塾が志望校と別の学校を勧める理由はさまざまです。
選択肢を広げるためということもあれば、より確実性を高めるためということもあります。
塾が志望校より偏差値の高い学校を勧めてくる場合、やはりこの理由は多いでしょう。
合格実績は塾選びの指標となるため、合格の可能性がある子にはぜひ受けてもらいたいという思いはあるはず。
また、合格実績の華になる学校は、ネームバリューが高く評判も良いため、実際に通学している卒業生からネガティブな話を聞くことは少ないものです。
そのため、子どもにとって良い学校であるという気持ちで勧めているのだと思います。
「その塾からの合格実績が少ない学校を志望校として塾に伝えたところ、塾から別の学校を勧めてきた」という場合は、この理由があてはまるかもしれません。
塾からの合格実績が多い学校は、その分受験データも多く蓄積されています。
受験校の組み合わせや卒業生の受験体験など、過去の入試問題傾向だけに留まらないデータは受験の強い味方となります。
合格実績が少ない学校より、卒業生が合格実績を積み重ねている学校のほうが、塾としても子どもを合格させやすいもの。
確実性を高めるための提案とも言えますね。
偏差値の低い学校を勧められたとき、「うちの子の評価はそこまで低いの?」とショックを受ける前に考えてみてほしいのがこの可能性です。
校舎の建て替えやコースの増設などは、学校の魅力を大幅に変えます。
とくに有名大学の系属校になる場合は、今後の偏差値やネームバリューが上がることが予想されます。
実際に系属校になったことで人気を集め、偏差値が10上がったという学校もあるのです。
塾としてはそういう学校は早いうちに合格実績を上げておきたいという気持ちもあるでしょう。
過去とは条件が大幅に変わるため、子どもにとっても今まで考えていなかった新しい選択肢になる可能性があります。
これは勧められたとき、とくにしっかりと話を聞いておきたいケースですね。
塾が志望校より偏差値の低い学校を勧めてくる場合は、偏差値から考えて、合格が厳しいと考えられている可能性も確かにあります。
たとえば、現在の志望校をチャレンジ校に繰り上げ、現在の抑え校(滑り止め)との間にもう1校入れる、もしくはより堅実な抑え校を増やすという提案です。
これは親にとってはつらい提案なので、「チャレンジすらさせてくれないのか」「抑え校を下げるなんて合格は無理だと言われているようだ」と反発したくなる気持ちはよくわかりますし、塾側でもそれは理解していることでしょう。
最終的に決めるのはご家庭というのは大前提ですが、あえて塾から提案された場合は、受験は何が起こるかわからないということをもう一度考えてみてください。
入試は一発勝負です。何が起こるかわからないため、ある程度余裕を見て、戦略的に受験校を決めてほしいのです。
「早めの日程で確実な合格をひとつ手にして、落ち着いて本命の入試に挑んでほしい」「滑り止めでひやひやさせたくない」など、子どもが第一志望校に自信を持って臨むための提案でもあります。
偏差値は足りていても、その子どもの得手不得手を考えると、入試傾向から見て合格が厳しいと考え別の学校を勧めるケースはあります。
たとえば国語で言うなら、記述をまったく書きたがらない子に記述がメインの学校は勧められません。
子どもが苦手でも頑張ってくれればよいですが、受験が近づくほど、苦手から挽回するというのはなかなか難しくなることも。
チャレンジ校と志望校と滑り止め(抑え)の傾向が違いすぎる場合も、違う学校を勧められることはあるでしょう。
本来なら志望校は入学してからのことを考えて決めたいものですが、あまりに入試傾向がバラバラだと対策が難しく、合格難度が一気に高まることは理解しておきたいですね。
当然のことではありますが、受験校は入試に挑み合格したら通う子ども本人が納得するものであるべきです。
勧められた学校はあくまで提案として受け取り、ひとつの選択肢程度に考えると良いと思います。
選択肢にいれていない学校を勧められたときは、まず理由を聞いてみてください。
偏差値だけでなく、学校に校舎の新設予定がある、過去の入試データから合格しやすいと推測されるといった根拠が出てくるかもしれません。
塾が勧める理由に納得がいくようであれば、検討してみても損はないでしょう。
塾からの提案の中でも、想定より高い偏差値の学校を勧められた場合は、ぜひ参考にしてみてほしいと思います。
塾が提案しているということは、子どもにとって無理なレベルではないということです。
志望校選びは入学後の生活やさらに先の進学まで考えるものですが、入試戦略を無視することはできません。
塾は入試の傾向や実績に関してたくさんのデータを持っており、そのうえで受験校を提案していることでしょう。
つまり、想定とは高い偏差値の学校にも合格の可能性があると考えられているということです。
学校の雰囲気などが合うようなら、チャレンジ校として選択肢に入れても良いと考えます。
一方で、想定より低い偏差値の学校を勧められた場合は、安全策の取り方を知ったと思えば良いでしょう。
現在の受験校がだめだというわけではありませんが、当日の精神状態や出題内容に結果が大きく左右されるなら、先手を打って安心を確保しておきたいという気持ちも、塾側にはおそらくあるでしょう。
本当に行きたいという志望校を変える必要はありませんが、合格の可能性を上げる方法は知って損はないかなと思います。
塾から志望校と違う学校を勧められても、無理に変える必要はありません。
志望校や受験校を選ぶのは、あくまで子どもであり家庭で話し合って納得のいく結論を出すべきでしょう。
とはいえ、塾の提案も理由があってのこと。使える情報はもらっておき、志望校選びの材料として活用してみてくださいね。
※中学受験ナビの連載『塾のトリセツ』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。
この記事のライター
マイナビウーマン子育て
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