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子供のほくろが急に大きくなったように思えたり、増えたように見えたりすると、皮膚がんが心配になりますね。そこで子供のほくろについて、小児科医の森戸先生に詳しく聞きました。
(※画像はイメージです/PhotoAC)
診察室で「子供のほくろが大きくなったんですが、皮膚がんですか?」「急にほくろが目立つようになったのですが、取るべきですか?」などと聞かれることがあります。でも、子供の皮膚がんはとてもめずらしく、ほとんどは心配ありませんし、取らなくても大丈夫です。
子供が生まれてすぐは色素が薄いこと、そのうちにほくろが目立つようになること、また保護者のみなさんが大事なお子さんを日々しっかり注視しているからこそ、小さな変化が気になるのだろうと思います。
ほくろは、医学用語では「色素性母斑(しきそせいぼはん)」「母斑細胞母斑」と呼ばれます。母斑とは、ほかの部分とは皮膚の色や形が違う腫瘍(一般的にはアザ)のこと。子供の母斑には、ほくろ以外にも、以下のような種類があります。
<蒙古斑(もうこはん)>生まれた時からお尻や背中の下部にある青色のあざ。日本人のほぼ100%にありますが、通常は成長するにしたがって消えますし、治療の必要はありません。
<青色母斑(せいしょくぼはん)>幼児期までにできる青いアザのようなもの。小さな突起やしこりが特徴で、10mm以下で見た目が気にならなければ治療は不要です。
<表皮母斑、扁平母斑>出生時または生後早くにできる淡い茶色から褐色の母斑で、不規則な形です。ほとんど問題ありませんが、扁平母斑が6個以上あれば他の病気を合併している可能性があるので病院へ。<太田母斑>生後半年以内くらいの時期にできることが多い顔の母斑。額から鼻にかけて青色のアザができ、思春期に濃くなることが多いので、気になる場合はレーザー等で治療します。
一方、ほくろには、生まれつきある「先天性のほくろ」、生まれてからできる「後天性のほくろ」の2種類があり、色や形も様々です。ただ、後天性のほくろは褐色から黒褐色で毛が生えていることが多く、将来的にがん化する可能性があると考えられています。
では、ほくろがどんな状態の場合は、病院にかかるべきでしょうか?以下の2つ以上当てはまる場合は、皮膚科を受診してください。
Aほくろの形が、左右非対称な場合Bほくろと普通の皮膚との境目が、いびつで不明瞭な場合Cほくろの色が、黒、青、赤、白などで色調が不均一でムラがある場合Dほくろの大きさが、6mm以上の場合 (先天性のほくろの場合は20mm以上の場合)
医療機関では、ライトのついた拡大鏡のようなもので皮膚を詳しく診る「ダーモスコピー検査」で悪性かどうかを調べます。これでより詳しく診る必要があると判断されれば、皮膚組織の一部を採取する生体検査を行うことになるでしょう。
ちなみに、がん化した悪性黒色腫(メラノーマ)には、以下の4種類があります。
①末端黒子型:手のひらや足の裏、手足の爪部分にできる。②表在拡大型:おなかや胸、背中といった体幹や手足にできる。③結節型:全身のどこにでもできることがある。④悪性黒子型:日光が当たりやすい露出部分にできる。
このうち日本人に多いのは①の末端黒子型なので、赤ちゃんの手足にできるほくろを気にする方が多いのです。先にも述べたようにほとんどの場合は大丈夫ですが、心配な場合はぜひ小児科か皮膚科で相談してくださいね。
参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)
お話をお聞きしたドクター 小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長森戸やすみ 先生 一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。■Twitter
この記事の執筆者 大西まお 編集者・ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。この記事のライター
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