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「大航海時代のロマン漂う宿」をテーマとした、静岡県伊東市にある星野リゾートの温泉旅館「界 アンジン」に、イギリスに在住経験がある、俳優でフォトグラファーの染谷ノエルが訪問。そこでの体験を2回にわたってレポートします。英国人航海士・三浦按針(英名ウィリアム・アダムス)ゆかりの地に建ち、その名を冠した「界 アンジン」。1回目は、英国の香り漂う特別会席や全室オーシャンビューのご当地部屋をお届けします。
「界 アンジン」は、静岡県伊東市に位置する、全室オーシャンビューの温泉旅館。徳川家康に命じられた三浦按針が、日本初の西洋式帆船の建造を行ったと言われる地・伊東らしく、客室や大浴場、船の甲板をイメージした最上階の「サンブエナデッキ」からは太平洋が一望でき、開放感抜群です。
船の古材を使ったアートワーク、按針が生きた時代や当時の航海の知恵を伝える体験プログラム、英国のエッセンスを取り入れた食事、大航海時代にちなみ、IPAビールが湯上がりドリンクとして提供されるなど、随所で「英国人航海士・三浦按針」とその時代を感じられる宿です。
伊東駅からは車で5分。徒歩では約15分、海岸沿いを散策しながら宿へ向かえば、旅気分が高まります。
界 アンジンの公式サイトをチェック >広々としたつくりの内風呂は、最上階である8階にあり、高い位置からの眺めが楽しめます。大きな窓からは海と空の雄大な景色が望め、朝焼けや夕暮れなどの時間帯や季節によって、それぞれの美しさを堪能できます。
湯船に浸かると、窓の外の太平洋の海まで続いているように見えて、まるでインフィニティ風呂のよう。
海が広がる風景の手前には車が通り、人も歩いている、日常と地続きの風景も見ることができます。雄大な景色と同時にこの伊東の日常の風景を見ながら温泉に入るのも、楽しみ方のひとつ。
泉質はアルカリ性単純温泉。刺激が少なく肌当たりの優しいお湯は、少しぬるめでとても入りやすい温泉です。
日中に入浴すると、青空と海が広がって見え、とても爽やかな気分になれます。別名「伊東夏劇場」と言われる伊東温泉の花火大会開催日には、海上に上がる大迫力の花火を露天風呂に入りながら眺めることができるそう。
「界 アンジン」の湯守りが、伊東温泉の歴史とともに泉質や効果的な入浴法を解説してくれる「温泉いろは」。
肌に優しく長湯に適したアルカリ性単純温泉ですが、過度に長く浸かり続けるのは禁物。10分入浴したら湯舟から上がって体を休めるのがよい、と砂時計を手に説明がありました。
温泉入浴前、そして入浴中によりリラックスできるストレッチと呼吸法も教わります。
パッチワークのようなデザインのソファが並ぶ、和モダンな湯上がり処は、可愛らしさがある落ち着ける空間。湯上がりドリンクとアイスキャンディーが無料でいただけます。
湯上がりドリンクには、「ホップ」を大量に使用してつくられるアルコール度数の少し高いビール、India Pale Ale(IPA)ビールとソフトドリンクが用意されています。大航海時代には腐りやすい水の代わりに、アルコール度数が高く腐りにくいビールが飲料水として重宝されたそう。
船乗りたちが水の代わりに飲んだといわれるIPAビールを、備え付けのビールサーバーから注いで飲むことができます。お風呂上がりにビール…、ビール好きな人はずっとここにいてしまいそう。中身は「インドの青鬼」というIPAビールです。
ソフトドリンクには、りんご酢やぐり茶が。りんご酢は酸味が効いていて、最後には甘味があり、とっても美味しい。酸味があるのは、酢というだけでなく、イギリスらしくローズヒップも使っているからだとか。癖になってしまい、滞在中に何度も飲んでしまいました。
湯上がりドリンクの提供時間は、季節により変動するそうなので、フロントで確認を。
湯上がり処の大きなテラス窓から続く、サンブエナデッキ。三浦按針が日本で初めて造船した西洋式帆船「サン・ブエナ・ベントゥーラ号」の甲板をイメージしたデッキで、広い海と空を見渡すことができます。
サンブエナデッキの壁には、船に使われていた古材のアートが飾られています。
天気のいい日中には、海も空も真っ青な景色が望め、マジックアワーの時間には、空がピンクや赤に染まっていく様子が眺められます。動きがある景色を満喫しながら、ゆっくりと過ごせる場所です。風も心地よく吹いていて、外でIPAビールを飲むのもおすすめ。
温泉のお宿は、和室が多いけれど、「界 アンジン」のご当地部屋「按針みなとの間」は洋風のつくりです。その中でも和の要素を忘れないように、壁が土壁になっているそう。
船の古材を使ったアート作品がしつらえられた客室。ベッドサイドには、一面繊細な和風の飾り格子があり、夜、ベッドに寝転んだら、なんだか船の中にいるみたいに感じました。
このまま揺られてどこかに連れていってもらえそうな…、心はすっかり按針との船旅です。
部屋の窓からは、時間帯によって異なる太平洋と按針像が見えます。朝は紫色の空の中、船の光がぽつぽつと見える、幻想的な風景。日中には、たくさんの鳥たちやランニングする人の姿、車など、何気ない日常が目に入ってきて、地元の人々の暮らしの気配を感じられます。
部屋から出た廊下は屋外になっています。船のデッキをイメージしているとのこと。ディテールまでこだわった世界観に、ますます没入してしまいます。
客室の鍵のキーホルダーは船にちなんだもの。今回泊まったお部屋は、方位磁針をイメージしたデザインです。
定員4名のスイートルームは、広々としたリビングルームとワークスペースを兼ね備えたゆとりのある空間。
リビングには、大きなソファではなく、様々な形や色のひとり掛けソファを配置することで、一人ひとりが好きな角度から景色を楽しめるように配慮されています。部屋に入ると真っ先に紅色のソファが目に入ってきました。
デスクにレコードプレイヤーが設置されているのも特徴。海を眺めながらレコードをかけて…というシチュエーションは、日常ではなかなか体験できないものです。
部屋に流れる音楽に包まれながら、ウェルカムドリンクの和紅茶を飲みながら、海を眺めたり、本を読んだり…、とてもいい時間を過ごせそうです。
客室のリビングルームとベッドルームの仕切りも、古材で組まれています。ベッドのフットカバーの色は、海をイメージして青色にしたそう。爽やかな印象です。
内風呂やウォークインクローゼットも備えられ、暮らすように過ごすことができます。
夕食をいただくお食事処は、古書やカラーアクリル、ワイヤー、段ボール、染布など、15種類もの素材でできた多彩なデザインのパーテーションで仕切られた半個室のような空間。
海を眺めることもできる席に案内していただきました。食前にご当地のみかんのジュースをゴクリ。ドロッと濃厚でとてもしっかりした味です。
お食事の時間が描かれたカードも、乗船券のようでとても可愛い。
先付けは「ローストビーフの舷窓見立て」。三浦按針になぞらえて、船旅をモチーフとしたお食事が登場。舷窓(げんそう)は船体にある丸窓のことで、土台のシュー生地が舷窓を模しています。
シュー生地とローストビーフの間には、伊豆名産のわさびとサワークリームのソース。わさびの程よくツーンとする感じが美味しい。片方にはとびっこがのっていて、もう一方にはたれがかかっています。とびっこのプチプチとした食感もよく、それぞれ違う味わいが楽しめます。
甘鯛、海老真薯、茸いろいろ、三つ葉が入った土瓶蒸し。まずは、薫り高いお出汁を、その後にすだちを絞りながら具材をいただきます。すだちのさっぱり感が美味しさを際立たせます。
八寸、お造り、酢の物が様々な器に美しく盛り付けられた「宝楽盛り」は按針の祖国、英国にちなみ、アフタヌーンティーやハイティーをイメージ。
アフタヌーンティー同様に、下段から上段に向かって順に食べるように盛り付けられていて、下の段の八寸には、白玉胡桃味噌や、鶏と干し葡萄の松風、海老の紹興酒漬けやいくら、穴子の小袖寿司、変わったところでは渋皮栗に胡麻と白味噌を合わせたペーストを混ぜた白和えなどが並びます。
白玉胡桃味噌は、味が少し濃いめで、先に食べるのがおすすめとのこと。
お造りは、甘酒と梅肉を合わせたソースまたはお醤油で。
焼き物は「牛フィレ肉と季節野菜の鉄板焼き」。両面2-3分程度焼き上げていただく牛フィレ肉は絶妙なやわらかさ。柑橘と大根おろしを合わせた「ちり酢(ポン酢)」のソースで、さっぱり食べられます。
メインとなる台の物は「伊勢海老と金目鯛のブイヤベース」。伊勢海老と金目鯛、ムール貝とあさりがぎっしりと入っていて、出汁の旨み、海鮮の旨みがぎゅっと詰め込まれたお鍋です。会席料理の後半に食べやすい、上品な味付け。
白米の土鍋ごはんは、ブイヤベースのスープと合わせて食べて、リゾットのような味わいを楽しんで。波がイメージされたデザインの土鍋は和食器ながら洋風なエッセンスが感じられるポップなデザイン。
デザートは「ぐり茶のクレームブリュレ」。本来ある砂糖の焦げ目をぐり茶のパウダーで表現しています。器いっぱいに贅沢に振りかけられた抹茶パウダーが香り高い一品。味もとっても濃厚で、お茶好きにはたまりません。
今回は、ご当地部屋「按針みなとの間」や露天風呂など施設の情報をたっぷりとご紹介しました。
「界 アンジン」で体験できるアクティビティを紹介した記事も、併せてチェックしてみてくださいね。
界 アンジンの予約はこちらから! ><住所>〒414-0023 静岡県伊東市渚町5-12
<TEL>050-3134-8092(9:30〜18:00)
<駐車場>あり
<車>東名高速道路「厚木IC」から小田原厚木道路経由で約100分/東名高速道路「沼津IC」から約70分
<電車・バスorタクシー>JR東日本・伊豆急行「伊東駅」からタクシーで5分または徒歩で15分
※この記事は2024年8月の取材内容に基づき執筆されています。時期により、イベントや食事などの内容が変更になっている可能性があります。詳細は「界 アンジン」にお問い合わせください。
星野リゾートの温泉旅館「界」をチェック >染谷ノエル(Noel Someya) / 俳優・フォトグラファー
東京都出身。演劇を学ぶため中学卒業後に単身渡英し、ノーサンプトンのBosworth Independent Collegeなどに通う。4年半後に帰国、上智大学にて英文学を専攻。在学中より劇団、東京ジャンクZに所属、舞台俳優のキャリアは16年目を迎える(2024年時点)。写真は留学中、"Photography"の授業がきっかけで本格的に取り組むようになった。旅や日常をドラマチックに切り取る表現を得意とし、雑誌やWEBメディアなどでの作品掲載多数。 撮影、執筆、被写体の三役をこなすキャリアを活かし、取材、連載などでも活躍する。
Twitter: @noel_engeki
Instagram: @noelle.s12
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Photo&Writing:Noel Someya
Edit:michill編集部
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