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「大航海時代のロマン漂う宿」をテーマとした、静岡県伊東市にある星野リゾートの温泉旅館「界 アンジン」に、イギリスに在住経験がある、俳優でフォトグラファーの染谷ノエルが訪問。そこでの体験を2回にわたってレポートします。館内のそこかしこに船旅や英国を感じられるモチーフやアートが施され、統一された世界観により、大航海時代の船旅気分で過ごせるのが魅力の「界 アンジン」。2回目は、ご当地楽「アンジン紀行」や「紅茶の船旅」など当時のロマンをたっぷりと感じられるアクティビティのご紹介です。
【ご当地部屋や豪華な夕食を紹介した1回目の記事はこちらから】
ぐっすり眠った朝は、朝食前に8Fでスタッフと待ち合わせをし、海と空を一望できる屋上へとあがります。
界ブランド共通の現代湯治体操に続き、「界 アンジン」オリジナルの現代湯治体操を。気分は、伊東の地から船旅に出る按針のクルーの一員。呼吸を意識しながら、目的地の島の様子を眺めるようなポーズをとります。
いざ船に乗り込んだら、周りの島の様子を眺めたり、カモメになった気分で手足をぶらぶらしたり。無事、船旅が終了したら、ゆっくり呼吸をしながら、その喜びを万歳で表現します。景色抜群で、太陽から一日のエネルギーを受けながら、伊東の海風を感じてリフレッシュできました。
日差しが強く、少し体を動かすだけで汗が吹き出しましたが、温泉にすぐ浸かれるのが嬉しい!
界 アンジンの公式サイトをチェック >金目鯛の干物など地域色を感じる食材や、調理法を取り入れたご当地朝食。朝食にも英国のエッセンスが散りばめられています。
お豆腐は、まずはそのままの味を堪能し、その後、金目鯛のお出汁が入った塩をかけていただくのがおすすめ。自家製のヨーグルトに添えられたニューサマーオレンジのマーマレードは、ちょっぴりビターで、その味わいがとても美味しい。
イギリス(スコットランド)の郷土料理「スコッチブロス」は、具材がごろごろとたっぷり入ったスープ(ブロス)で、食べ応え抜群。一時期イギリスに住んでいた筆者は、食べた記憶がないなぁ〜、と思いながら口に運びましたが、優しくどこか懐かしい味。名前を知らずに食べていた可能性もありそう。
途中で卓上にある、ブラックペッパーやナツメグなどを使用したオリジナルスパイスを追加。優しい味から引き締まった味に一気に変わります。
朝食時の席は、古書のパーティションで仕切られていました。思わず本に見入ってしまいます。
三浦按針が手がけた船をモチーフに、伊豆の「豆」にちなんだ「豆船(まめふね)」作りを海を眺めながら体験。今回は客室で体験しました。素材も伊東産にこだわった豆船作りは、小さな落花生の殻と紙粘土と小さな旗を使って行います。
実際に手を動かす時間は30分ほどで、子どもから大人まで気軽に体験できます。紙粘土が乾くまで、2時間ほど待って完成です。
簡単にできる上、何より、船が落花生のサイズで本当に可愛らしい。紙粘土自体に触るのも久々で夏休みの工作をしているような気分に。童心にかえることができました。豆船は持ち帰ることができます。帰宅後に色を塗るなど、その人らしくアレンジするのもおすすめ。
ショップやエレベーターの中などにも豆船が飾られていました。ゆらゆらと揺れてとっても癒されます。手のひらにおさまるくらいなので、いくつか作って飾っても。私は、自宅の照明の紐に取り付けました。とっても馴染んで可愛いです。
職人や生産者など各分野の担い手と共に行う、界特有のご当地文化体験「手業のひととき」。「界 アンジン」は、⽕曜、⽔曜⽇に開催される「伊豆の恵みで育むクラフトビールのブルワリー探訪」です。
伊豆修善寺にある「ベアードブルワリーガーデン修善寺」で、こだわりのクラフトビールの醸造工程を学べます。現地で体験できるのは、製造過程のこだわりが直接聞けるブルワリーツアーと、タップルームでのおすすめベアードビールのテイスティング。
また、「界 アンジン」での滞在中には、チェックイン時、湯上がり、夕食の会席料理と滞在シーンに合わせてぺアリングされたベアードビールが堪能できます。さらにお土産にもベアードビールがもらえるので、ビール好きな人にとっては贅沢な体験になること間違いなしです。
取材時は開催前のため、現地での体験はできませんでしたが、「界 アンジン」のデッキで4種類のベアードビールを見せていただきました。写真左から右に向かって、どんどんビールの色が薄く明るくなっています。ラベルがどれも可愛いのでお土産やプレゼントにもぴったり。お酒好きな方は、ぜひ味の違いも楽しんでみてほしいです。
※「伊豆の恵みで育むクラフトビールのブルワリー探訪」は2024年9月3日〜2025年8月27日の火曜、水曜日開催(ゴールデンウィーク・お盆・年末年始に除外日有)。予約必須(有料)。参加は20歳以上。
三浦按針の人生や造船技術を伝えるショートムービーが上映される、ご当地楽「アンジン紀行」。船の古材が使われた、船や海を感じさせる内装のロビーで行われます。ロビーが暗くなり、音楽とナレーションが流れ、ちょっとしたミニシアターのような雰囲気に。
江戸からのアクセスがよく、造船の条件に適った場所が、静岡県伊東市松川河口付近、まさに「界 アンジン」の建つ辺り。日本の歴史に大きな影響を与えた按針の偉業とともに、船で弟や仲間たちを亡くした経験や、母国である英国にその後帰ることはなかった按針の数奇な人生に想いを馳せます。
内容はもとより、音楽のフェードイン・アウトの使い方が舞台的でとても楽しめました。このご当地楽を体験すると、「界 アンジン」から見える伊東の景色が変わって見える気がします。予約不要、無料で通年開催されているので気軽に参加できます。
「界 アンジン」は、乗船時に陸と船を結ぶデッキをイメージした橋がお出迎えしてくれます。
エントランスの「界」マークの下には、実際に使われていたという舵(かじ)が置いてありました。手に持ってもよいとのことで、実際に持ってみると思ったよりずっしり、重量感があります。建物に入る前から、船旅気分が盛り上がります。
チェックインカウンターの奥には、波がイメージされたアート作品が。
そして、目を引くのがカウンターの隣にある、大きくて頑丈そうなウォールアート。実際に航海で使われていた舵や、櫂(かい)をはじめとした船の古材が使われています。
ロビーに入る陽の光が、それぞれのアート作品に陰影を与え、その美しさをより一層強調。館内の様々な場所に船の古材を使ったアートが飾られていて、按針の時代の船旅に思いを馳せてしまいます。
ロビーに併設されたトラベルライブラリー。「界 アンジン」のトラベルライブラリーにはレコードプレイヤーがあり、宿泊客が好きなレコードを選んで曲を流すことができます。レコードのアナログな音源が特別な時間を演出してくれます。
なんだか古い映画の中にタイムスリップしたような気分です。本棚には、主に按針や紅茶についての本が並び、さらに大航海時代には欠かせないビールの本もあります。
按針が日本で建造したサン・ブエナ・ベントゥーラ号の模型が施設の中にいくつかあります。トラベルライブラリーのテーブルの上にあるのは、50分の1のサイズの模型。
按針にちなみ、「界 アンジン」のトラベルライブラリーには紅茶が用意されています。按針が英国から日本まで旅した実際の航海ルートに沿って、その土地の茶葉やハーブを使用したフレーバーティーがいただける「紅茶の船旅」です。色がとても綺麗。ベースとなる茶葉とフレーバーの葉を、自分の好きな組み合わせで楽しむことができます。
茶葉には、航海ルートの国の国旗が添えられていて、按針がこれらの国を航海したんだ、と想像が膨らみます。こうした細やかな演出により、さらに三浦按針について知ることができるのも、とても楽しいひとときです。
ロビー内にあるSHOPには、海や航海をイメージしたお土産が揃います。灯台や錨デザインのキーホルダーは「界 アンジン」オリジナル。
客室にも用意されているイギリスのお菓子、ショートブレッド。カカオは大航海時代に重宝されていたことから「塩カカオ味」も販売されています。
今回私はブローチと紅茶をお土産に選びました。ブローチは着物の帯留に使っても可愛いです。
客室のウェルカムドリンクとしても出されている、パッケージが可愛い紅茶「オリジナルブレンドティー」は3つのフレーバーがあります。心地よい渋みとコクのある上品な味わいが楽しめる「べにふうき」、みかんピールと生姜を使った界オリジナルの「みかんジンジャー」、そして、“よい航海を”を意味する「FAIR WINDS」は世界中のハーブ・スパイスをブレンドした独特の芳醇な香りが特徴です。
私自身、以前イギリスに住んでいたこともあり、今回の「界 アンジン」には訪問前からとてもワクワクしていました。和と、イギリスやビール、そして船旅という世界観。景色は現代のまま、心がタイムスリップするような体験ができる場所。伊東の景色が、さっきまでとは少しだけ変わって見えるようになる場所。なんだか不思議な体験をした気分です。
ビール好きな人や海が好きな人はもちろん、歴史に興味がある人、日常の中の非日常を味わいたい人におすすめしたい宿です。大都市から好アクセスな「界 アンジン」は、秘湯のように完全に隔離されるのではなく、目の前の日常と、少しだけ異なる世界線に入り込むようなイメージです。
個人的にイギリスに愛着があるからか、イギリス要素が出てくると心が躍りましたし、按針にもとても興味が湧きました。ずっと施設でおこもりするというよりは、目の前に広がる空間全体で思いっきり楽しみたい、と思う宿。外にも思い切り飛び出していきたい、そして、また“帰ってきたい!”と思う場所でした。
界 アンジンの予約はこちらから! ><住所>〒414-0023 静岡県伊東市渚町5-12
<TEL>050-3134-8092(9:30〜18:00)
<駐車場>あり
<車>東名高速道路「厚木IC」から小田原厚木道路経由で約100分/東名高速道路「沼津IC」から約70分
<電車・バスorタクシー>JR東日本・伊豆急行「伊東駅」からタクシーで5分または徒歩で15分
※この記事は2024年8月の取材内容に基づき執筆されています。時期により、イベントや食事などの内容が変更になっている可能性があります。詳細は「界 アンジン」にお問い合わせください。
星野リゾートの温泉旅館「界」をチェック >染谷ノエル(Noel Someya) / 俳優・フォトグラファー
東京都出身。演劇を学ぶため中学卒業後に単身渡英し、ノーサンプトンのBosworth Independent Collegeなどに通う。4年半後に帰国、上智大学にて英文学を専攻。在学中より劇団、東京ジャンクZに所属、舞台俳優のキャリアは16年目を迎える(2024年時点)。写真は留学中、"Photography"の授業がきっかけで本格的に取り組むようになった。旅や日常をドラマチックに切り取る表現を得意とし、雑誌やWEBメディアなどでの作品掲載多数。 撮影、執筆、被写体の三役をこなすキャリアを活かし、取材、連載などでも活躍する。
Twitter: @noel_engeki
Instagram: @noelle.s12
STAFF
Photo&Writing:Noel Someya
Edit:michill編集部
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