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ベランダガーデニングで育てたハーブを摘んで、フラワーアレンジメントに挑戦してみませんか?リビングだけでなく玄関やサニタリースペースなどに飾れば、さわやかな香りが気分をリフレッシュしてくれます。
ここでは前回作ったような寄せ植えから使うことを想定していますが、摘み方と飾り方のコツは、花屋さんで買った花や生えている花を使うときにも役立ちます。
前回に引き続き、ハーバルセラピストの資格を持つフラワーアーティストの落合恵美さんに、ハーブの摘み方、生け方を教わりました。
草丈も長くなく、素朴な花ばかりなので、器も特別な花器でなくても大丈夫。
グラスやジャー、キャニスターなど身近な食器や生活雑器のほうが、ちょっとしたスペースにも飾りやすく、またナチュラルなハーブにもなじみます。
花の選び方は寄せ植えの時と同様、色や形、質感の似ていない花を組み合わせるのもコツです。
植物の多くは花が咲くと養分を使ってしまい、株の成長は止まってしまいます。
また茎を適度に刈り込むことで、脇芽が増え、より長くたくさん楽しむことができるのです。
そして摘むのは午前中、それもできるだけ朝早くに。
植物は夜明けとともに水分を吸収し、午後は蒸散していくので朝早く摘んだものほど元気で、もちが良いのです。
※ペパーミントの場合(黄色い線の部分をカット)
※ラベンダーの場合(黄色い線の部分をカット)
まずは茎をよく観察してください。
葉がついている根元に、小さな葉やつぼみが出ていませんか?
この節のすぐ上(黄色い線のところ)で切ると、脇芽から枝分かれして増えます。
料理などで少しだけ使うときも、この位置で切ると何度も収穫できます。
ナスタチウムのように枝分かれしていない花も、咲いた花を摘むことによって、次のつぼみが咲きやすくなります。
鉢から摘んだままのラベンダーとペパーミント。
茎の下のほうにも葉がついています。
しかし葉は水に浸かると腐りやすく、水が濁って枯れてしまうので、いけたときに水に浸かる部分の葉(黄色の枠内)はあらかじめ取り除いておきます。
このとき取り去った葉も香るので、お茶に入れたり、サシェやネットに入れてお風呂に浮かべるなど、無駄なく楽しみましょう。
※妊娠中のかたや子どもは、カモミール、ラベンダーの大量摂取は避けてください。
花や葉を摘んだら、少々手間でも必ず水切りを行います。
「水切り」とは、茎がたっぷり浸かる深さのバケツや洗面器、ボウルなどに水を張り、水中に茎を沈めたままよく切れるハサミで、スパッと茎先を切ること。
断面を乾燥させないために、流水で濡らしながらでもよいと勘違いされていることがありますが、それでは不十分。
水中で切るのは茎に水圧をかけてポンプの原理で水を吸わせるためなので、これを施した花とそうでないものでは花もちが違います。
水替えをするときも、茎をよく洗ってぬめりを落とし、再び水切りをすると元気をとり戻ります。
さらにできるだけ鋭角に斜めに切ると、切り口の面積が大きくなり、水を吸いやすくなります。
ここでは保存びんを器に使います。
広口の器には生ける順番が大切。
ラベンダーやナスタチウムのような茎1本で引っかかりのない花材を先に入れても、パタリと倒れて安定しないうえ、ふんわり広がらずに動きのないアレンジになってしまいます。
さらにスプレー状に細かく枝分かれしたゼラニウムやカモミールを、先に挿したペパーミントの間を埋めるように挿すと、器の口に足場ができます。
この足場にもたせかけるように、枝分かれしていない花を、小さい順(ラベンダー→キャットミント→ヤグルマソウ)に足していきます。
最後にこの中ではさし色になるナスタチウムの黄色を、アクセントになるように挿します。
先に挿したペパーミントの茎が、器を三角状に仕切っていて、その間に足していった茎が放射状になっています。
こうすることで安定感もよくなり、また花が立ち上がってふんわりと広がるので、1輪1輪が引き立ちます。
器の中を見てみると、茎が放射状に絡まって、お互いに支えあっているのがわかります。
また水の中には葉が浸かっていません。
※上から見たところ(左の写真)、横から見たところ(右の写真)
植物の生育が盛んな季節、ミントやバジル、ゼラニウムなど丈夫なハーブは、水に挿している間にも根が出てくることがあります。
水替えで茎を洗うときに、切り口や節のところに出っ張りを感じたら、切り戻さずにいけてみましょう。
水替えだけこまめに行っていれば、1~2週間で根が出てくることがあります。
もしそうなったらラッキー!そのまま水栽培で育てることもできますし、根が水を浄化してくれるので、いっしょにいけたほかの花もいきいき!
土に植え替えればしっかりと根付くので、もっと大きく育てることもできます。
(写真は2週間挿していたミントの茎)
鉢から摘んだハーブは、買ってきた切り花と違って茎が曲がっていたり、花の色や大きさもまばらだったり…。
でもそれこそがナチュラルなハーブの魅力なのです。
花と花の間に空気を含ませるように、風通しよくいければ、表情もいきいき。
キッチンやリビング、生活に寄り添う場所に置いて、もっと身近に取り込みましょう。
ティータイムのテーブルに飾れば、そこから直接つまんでお茶に入れて、フレッシュな香りを楽しむことも。
自分で育てたハーブだからこそできる贅沢です。
【取材協力】
落合 惠美 Emi Ochiai
花のアトリエ「ブランディーユ」主宰。フラワーアーティスト。ハーバルセラピスト。
世田谷・三軒茶屋にある緑に囲まれた心地よいアトリエで、花の自然な表情を生かしたナチュラルテイストのフラワーアレンジメント教室を開催。
ウエディングやイベントのフラワースタイリング、通信教育講座ユーキャンのフラワーアレンジメント講座の監修や、雑誌「花時間」など多くのメディアで作品を発表。
オーガニックフラワーの普及を目指し、無農薬栽培のハーブや薔薇のみを使用したレッスンも行っている。
衣食住においても、オーガニックや自然素材にこだわり、地球環境や動物へ配慮した野菜中心の食生活を心がけている。
著書に「やさしくレッスン花のアレンジメント」、「落合惠美のフラワーアレンジメント」雄鶏社、「落合惠美のウイークエンドアレンジ」六耀社など。
この記事のライター
赤岩智美
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福岡県出身。美大卒業後、広告制作会社にてコピーライターを経験したのちフリーランスに。広告や雑誌で企画、編集、ライターを行う傍ら、インテリアや雑貨の蒐集、美味しいもの好きが高じて、1994年~2012年まで代官山、中目黒にてカフェを経営。カフェのイベントとして美大の同級生と一緒にはじめた『手藝部』が現在も継続中。展覧会やワークショップなどを行っている。
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