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住宅ローン減税はお得?詳しい仕組みを紹介します

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働き盛りの世代の皆様で、「うちもそろそろ家を買おうか?」と検討されている方もいらっしゃると思います。そこでよく耳にするのが、いわゆる『住宅ローン減税』。正確には『住宅借入金等特別控除』といいます(以下、本文では『住宅ローン減税』とします)。この住宅ローン減税を使うことで、税金がどの程度減るのか気になりますよね。そこで今回は、その住宅ローン減税の概略について、簡単な数字も使いながら見ていくことにします。

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目次

住宅ローン減税の仕組み

住宅ローン減税とは、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築や取得又は増改築等を行い、平成31年6月30日までに自分の住宅として住み始めた場合、一定の要件を満たせば、所得税を減額できる(場合によっては住民税も)という制度です。

どのくらい税金が減額されるのか?

では、住宅ローン減税を適用した場合、所得税等はどのくらい減額されるのでしょうか?

<計算式>

下記の計算式で算出した額が、所得税から減額されます。
≪計算式≫住宅ローンの年末残高×1%<注1>
(以下、平成26年4月1日~平成31年6月30日までに居住の用に供した場合を前提にいたします。)

<上記計算式の額が所得税から引ききれなかった場合は?>

上記計算式の額が、所得税から引き切れないこともあります。
その場合ですが、所得税から引ききれなかった分は、住民税から控除します。
具体的には、次の(1)または(2)のいずれか小さい額が住民税から控除されます。

(1)上記の計算式の額のうち、所得税において控除しきれなかった額
(2)所得税の課税総所得金額等の額に7%を乗じた額(限度額136,500円)

<具体的に減額される額および期間は?>

住宅ローン減税によって減額を受けられるのは、年間で最大40万円まで<注2>です。(つまり、上記計算式で計算した結果40万円を超えても、減額できるのは40万円まで、ということ)
また、控除期間(減額できる期間)は最大10年になります(11年目以降は減額なし)。
ということで、制度上は、年間で最大40万円・通算で最大400万円の減額を受けられる、ということになります。
ですが、実際には、この最大額すべての恩恵を受ける方は多くはないでしょう。
ですので、ここでは下記の簡単な設例を使って、現実的にはどの程度の減額を受けられるのかを見ていきます。

≪設例≫

◇住宅ローン借入額2,500万円・返済期間30年・金利2%・元利金等払い<注3>
◇給与収入600万円(扶養ゼロ、社会保険86万円、その他所得控除等は考慮せず、所得税年間204,500円、住民税年間310,000円。10年間不変だと仮定します。)
この設例の場合ですと、繰り上げ返済等がなければ、借入1年目~10年目まで住宅ローン減税が使えます。
◆住宅ローン適用1年目では、住宅ローン減税で243,800円が減額されます。
その結果、所得税は当初の204,500円から0円になります。
また、住民税も当初の310,000円から270,700円になります(所得税から引き切れなかった分39,300円を控除)
◆住宅ローン減税適用最終年の10年目でも、住宅ローン減で182,600円が減額されます。
その結果、所得税が当初の204,500円から22,300円になります(住民税は310,000円のまま)。
◆そして、住宅ローン減税の適用可能期間10年間で、合計で約214万円の所得税が減額されることになります(一部住民税の減額あり)。

住宅ローン減税の適用要件は?

では次に、住宅ローン減税を適用できる要件を見ていくことにします。

<新築の場合>

下記(1)~(5)の要件をすべて満たした場合に適用できます。

(1)新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31まで引き続いて住んでいること。
(2)この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
(3)新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること<注4>
(4)10年以上の住宅ローン(一定の借入金又は債務)を組んでいること<注5>
一定の借入金又は債務とは、銀行等の金融機関や勤務先からの借入金、建設業者などに対する債務です。
勤務先からの借入金の場合には、無利子又は1%に満たない利率による借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
なお、親族や知人からの借入金は全て、この特別控除の対象となる借入金には該当しませんので、くれぐれも注意してください。
(5)居住の用に供した年およびその前後2年間(計5年間)に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

なお、生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得、あるいは贈与による取得の場合には、この特別控除の適用はありません。十分に注意してください。

<中古の場合>

下記(1)~(6)の要件をすべて満たした場合に適用できます。
下記(1)がメインです。
(下記(2)~(6)は新築の場合と同じです。)

(1)取得した中古住宅が次のイ・ロ・ハ・ニのいずれにも該当する住宅であること。
 イ:建築後使用されたものであること。
 ロ:次のいずれかに該当する住宅であること。
 ①家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年。(マンションなどの耐火建築物<注6>の建物の場合には25年)以下であること。
 ②地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの (耐震基準)に適合する建物<注7>であること(平成17年4月1日以後に取得をしたものに限ります。)
 ③平成26年4月1日以後に取得した中古住宅で、上記①又は②のいずれにも該当しない一定の要耐震改修住宅のうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修(住宅耐震改修特別控除の適用を受けるものを除く。)により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。
 ハ:生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと。
 ニ:贈与による取得でないこと。

上記に加え 先に記載した新築の場合(2)~(6)の条件に適用すること。

<増改築の場合>

下記の(1)~(8)の要件すべてを満たした場合に適用できます。
(1)~(3)がメイン。
(下記(4)~(8)は新築の場合と同じです。)
(1)自己が所有し、かつ自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
(2)その工事費用の額<注8>が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
(3)次のいずれかの工事に該当するものであること。
 イ:増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替え<注9>の工事
 ロ:マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(イに該当するものを除く。)
 ハ:家屋<注10>のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(イ及びロに該当するものを除く。)
 ニ:建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(イ~ハに該当するものを除き、その増改築等をした部分を平成14年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)
 ホ:一定のバリアフリー改修工事(イ~ニに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)
 ヘ:一定の省エネ改修工事(イ~ホに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成20年4月1日以後の居住の用に供した場合に限ります。)

上記に加え、先に記載した新築の場合(4)~(8)の条件に適用すること。

住宅ローン減税の最初の1年目は確定申告を!

<最初の1年目>

住宅ローン減税を使う場合、最初の1年目は確定申告が必要になります。
確定申告の際に必要になる書類で主なものは、次の通りです。

(1)敷地の取得に係る住宅借入金等がない場合
 イ:住宅借入金等特別控除額の計算明細書
 ロ:住民票の写し(平成28年1月1日以降に自己の居住の用に供した場合は不要です。)
 ハ:住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書)
 ニ:家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し、売買契約書の写し等<注11>で次のことを明らかにする書類
 ①家屋の新築又は取得年月日
 ②家屋の取得対価の額
 ③家屋の床面積が50平方メートル以上であること
 ④家屋の取得等が特定取得<注12>に該当する場合には、その該当する事実(平成26年分以後の居住分に限ります。)

(2)敷地の取得に係る住宅借入金等がある場合
上記(1)で掲げた書類に加え、次の書類が必要です。
 イ:敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し等<注13>
(敷地を取得したこと、取得年月日及び取得対価の額を明らかにする書類)
 ロ:必要に応じて、下記の書類
 ①家屋の登記事項証明書などで、家屋に一定の抵当権が設定されていることを明らかにする書類
 ②敷地の分譲に係る契約書の写しなどで、契約において一定期間内の建築条件が定められていることなどを明らかにする書類
(3)給与所得者の場合
上記(1)(2)の書類に加え、給与所得の源泉徴収票

<2年目以降>

2年目以後については、確定申告を行う場合には、住宅借入金等特別控除額の計算明細書および住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書を添付して提出すれば大丈夫です。
また、給与所得者の方は、2年目以後は年末調整で大丈夫です。
この場合、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を年末調整の際に勤務先に提出してください。

<注1>『住宅の取得等の額又は費用の額』≦『住宅ローンの年末残高』の場合には、『住宅の取得等の額又は費用の額』を使います。

<注2>消費税および地方消費税が8%あるいは10%の場合。
それ以外の場合は、最大で20万円。

<注3>1年目~10年目までの住宅ローン年末残高は、1年目2438万円、2年目2375万円、3年目2311万円、4年目2246万円、5年目2180万円、6年目2112万円、7年目2042万円、8年目1972万円、9年目1900万円、10年目1826万円、とします。

<注4>この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
 1.床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断。
 2.マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断。
 3.店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断。
 4.夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断。
しかし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。

<注5>その住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含みます。

<注6>「耐火建築物」とは、建物登記簿に記載された家屋の構造のうち、建物の主たる部分の構成材料が、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造(軽量鉄骨造は含みません。)、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造のものをいいます。

<注7>「地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの(耐震基準)に適合する建物」とは、その家屋の取得の日前2年以内に耐震基準適合証明書による証明のための家屋の調査が終了したもの、その家屋の取得の日前2年以内に住宅性能評価書により耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級 1、等級2又は等級3であると評価されたもの又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されているもの(住宅瑕疵担保責任法人が引受けを行う一定の保険契約であって、その家屋の取得の日前2年以内に締結したものに限ります。)をいいます。

<注8>平成23年6月30日以降に増改築等に係る契約を締結し、その増改築等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額

<注9>「建築基準法に規定する大規模の修繕又は大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除きます。)、柱(間柱を除きます。)、床(最下階の床を除きます。)、はり、屋根又は階段(屋外階段を除きます。)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます。

<注10>マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。

<注11>平成23年6月30日以後に住宅の取得等の契約を締結した場合で、その住宅の取得等に関し補助金等の交付を受けているときは、交付を受けている補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けているときは、その特例に係る住宅取得等資金の額を証する書類の写しも添付してください。

<注12>「特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

<注13>平成23年6月30日以後に住宅の取得等の契約を締結した場合で、その住宅の敷地の取得に関し補助金等の交付を受けているときは、交付を受けている補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の贈与の特例の適用を受けているときは、その特例に係る住宅取得等資金の額を証する書類の写しも添付してください。



この記事のライター

渡辺順也

昭和49年4月20日生まれ。早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修士課程修了。早稲田大学卒業。静岡県出身。東京都内の会計事務所にて経験を積み、2006年12月20日税理士登録完了、2007年1月に吉祥寺にて独立開業。現在、開業して10年を経過。これまでに数多くの法人・個人の税務顧問・確定申告業務、節税対策や資金繰り等の各種コンサルティング、相続案件、起業支援等に携わる。事業者ご家族の個人的な相談にも応じ、その他各種講演活動も行う。

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