頭痛、腰痛、生理痛…この痛みにはどれが効く?鎮痛薬の成分や選び方

更新日:2019年7月31日 / 公開日:2018年6月15日

薬剤師の三上です。ドラッグストアに行くと、色々な種類の痛み止めが並んでいて、どれがいいのか良く分からない…。という声を耳にします。そこで、今回はあなたの症状に合った鎮痛剤の選び方をご紹介します。

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鎮痛剤は痛みを感じる物質が作られないようにする

まず、なぜ鎮痛剤って効果があるの?というところから、お話ししてみようと思います。

すごく簡単に言ってしまうと、鎮痛剤は痛みを感じる物質(ブラジキニンなど)が作られないようにします。痛い!と感じる物質が作られなくなるので、痛みを感じにくくなるという訳です。

そのため、痛みを感じる物質が大量につくられる前に、鎮痛剤を服用すると効果を実感しやすくなります。

「あー。なんだか痛くなりそう」「ちょっと痛くなってきた」ぐらいで、服用できるといいですね。

「痛い!!」となってから服用しても、もちろんいいのですが、効くのに時間がかかったり(痛い!と思っているので余計に長い時間と感じてしまうかもしれません)、あまり効かなくなったのでは?と、感じることがあります。

なるべく、酷い痛みになる前に飲めるといいですね(※)。

また、鎮痛剤は痛みを和らげるだけでなく、熱を下げる作用もあります。解熱鎮痛剤とも言いますものね。鎮痛剤は、体温を上げる物質が作られるのも同様に邪魔します。

その他、解熱鎮痛剤の中には、炎症を和らげる成分もありますので、症状に合わせて選べるとより良いかと思います。

※あまりにひどい痛みは、危険なこともありますので、冷や汗が出る、普段と違った痛さ、吐き気、ふらつき、ろれつが回らないなど、他の症状もみられましたら、直ぐに受診するか酷い場合には救急車を呼びましょう。

鎮痛剤の種類だけでなく、一緒に入っている成分も大事

ドラッグストアで市販されている解熱鎮痛剤の成分は、主に以下があります。簡単に成分の特徴にも触れておきますね。

①アセトアミノフェン

市販薬で唯一15歳未満の子供も使える成分で、安全性の高い薬と言われています(大量服用は肝障害あり)。胃への負担がほぼないのですが、効き目が比較的弱いので、あまり効かないと感じる人もいます。効果時間も短いと実感される人が多いですね。

※日本では、大人用のアセトアミノフェンのお薬は「タイレノールA」という商品のみになります。なお、小児用バファリンといった小児用の解熱鎮痛薬は全部アセトアミノフェンです。

②アスピリン(アセチルサリチル酸)

解熱鎮痛作用も強めです。抗炎症の作用もありますが、胃への負担が少しあります。そのため、アスピリンが主成分のバファリンAなどは、胃酸を中和する成分も含まれていて、胃にやさしい配合になっています。

③イブプロフェン

これも解熱鎮痛作用が強めです。抗炎症の作用もありますので、歯が痛い、腰が痛いなどの炎症による痛みにお勧めです。こちらも胃の負担はありますので、胃が弱い方は胃薬を合わせて飲むといいかと思います。

④イソプロピルアンチピリン(IPA)

こちらも解熱鎮痛作用が強めですが、特に頭痛には効きが良いと言われています(中枢移行がいい)。頭痛にお勧めしたいのですが、ピリンアレルギーの人(この薬をのんで、蕁麻疹がでるピリン疹の経験がある人)は、使えません。

⑤ロキソプロフェン

第一類医薬品というカテゴリーに入るので、薬剤師がいるドラッグストアか、インターネットで購入できます(説明を読んで薬剤師に必要に応じて確認する仕組みになっています)。市販薬の中では、鎮痛作用と炎症を押さえる作用が一番あると思います(人によって異なることがありますが)。

ロキソニンというブランドで有名ですが、今は「ロキソプロフェンナトリウム「メーカー名」」という商品名でいくつか市販されています。

その他

・エテンザミドという成分も入っていることがあります。これ自体にはあまり解熱鎮痛作用は低いですが、他の鎮痛成分と一緒になることで、鎮痛効果を高める作用があります。

・カフェインも、頭(中枢)が興奮することで、痛みが伝わりにくくなるので、入っていると鎮痛効果がよりあるように感じます。

痛み以外の症状から選ぶ

イライラからくる痛みには落ち着く成分が入っているものを

イライラすると頭痛が起こったり、頭痛で肩こりが酷かったり、生理痛でイライラするようでしたら、落ち着く成分(催眠鎮静成分)が入っているものが良いですね。

催眠鎮静成分(ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素)が、それに当たります。

※痛み止めだけでも、眠くなることがあります。もし、痛み止めだけで眠気が酷いようでしたら、この成分が入っているものは選ばないでくださいね。ロキソニンにも眠気の報告はあります。

むくみがある場合には、カフェイン入りも

生理の時にむくんでしまうという人はいませんか?女性ホルモンの変化によってむくんでしまう人がいるのですが、もし、むくむようであれば、カフェイン入りのものが良いかもしれませんね。

コーヒーや紅茶などカフェイン入りの飲み物を飲んで、トイレが近くなることはありませんか?カフェインには利尿作用といって、尿をつくる作用があるので、体内の水分量を少なくします。

ただ、カフェイン入りの飲み物が好きな人は、カフェインの取り過ぎになるので控えてください。また、脱水症状にならないように特に夏や乾燥しているときには、水分補給もするようにしてくださいね。

少し、専門的になりますが、こういった解熱鎮痛薬の副作用としてむくみが報告されています。もし、薬を飲んでむくむようでしたら、服用を避けて医師に相談してください。他の系統の薬を処方してくれるかと思います。

生理痛に特化したエルペインコーワ

解熱鎮痛剤のイブプロフェンに、ブチルスコポラミン(※1)という子宮の過度な収縮を抑制する成分が入っている薬です。

生理痛の原因の一つとして、子宮の過度な収縮があります。生理になりたての若い頃は、まだ慣れていないこともあり、酷く痛みを感じることがあります。

歳をとるにつれ、また出産すると、比較的生理痛が和らぐと言われます。が、だんだん痛みが酷くなるようであれば、他の病気が考えられるので、受診してくださいね。

この過度な子宮の収縮を抑えることで、生理痛をより和らげる作用があります。生理痛が酷い場合や、通常の解熱鎮痛薬が飲めない人は、婦人科で処方されたことがある人もいると思います。

※1 専門的になりますが、副交感神経遮断薬という分類の薬で、消化管や子宮の過度な収縮を抑える薬になります。胃がキューとして痛む場合に使ったり、胃カメラ検査で使うことがあるブスコパンという薬と同じです。

ただ、胃腸の動きを抑えてしまうので、便秘の人は更に酷い便秘になる可能性も高いのでお勧めできません。生理の時に、便が柔らかくなったり下痢になりやすい人にはお勧めです。(※2)

※2 生理の時に便秘になったり下痢になったりするのは、女性ホルモンが大腸に作用するためです。通常は、女性ホルモンのエストロゲンが大腸の動きを抑えるため便秘になる傾向が高いですが、人によっては下痢になる方もいます。

最後に…

市販の痛みどめの成分について色々触れてきましたが、

・月に10日以上、鎮痛薬を飲む人

・普段と違った酷い痛み、冷や汗が出る、ろれつが回らない

・5歳未満、50歳以上での初めての頭痛

・妊婦の頭痛

など、いつもと違う場合には、市販薬での対応ではなく、直ぐに病院にかかるか救急車などでの対応をしてくださいね。

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