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40代が待っている!第二回目はmuccoさんが考える「自分らしさ」について。30代女性が迷走しやすい年代なりのスタイルの悩みに対して、muccoさんの回答とは…?
Q.今まではトレンド感満載のファストファッションをとっかえひっかえ楽しんできましたが、大人になるにつれて、買っては捨てるのが虚しくなり、自分らしいおしゃれ、自分のスタイルとはなんだろう、と感じています。muccoさんはいつごろからどのようにして今のスタイルになったのですか?
(30代前半・既婚・メーカー勤務)
A.ご質問いただきありがとうございます。深く掘り下げると本が一冊書けるテーマですね。質問者の方のファッションテイストがわかりませんので、私が30代前半から考え実践してきたことをお伝えしたいと思います。
「あの人はスタイルがある」という時のスタイルとは一体何でしょう?
質問者さんはどのようにお考えですか?私はこう考えます。ヘアスタイルやファッションスタイルなど外見的要素だけを指すのではなく、その人が見て聞いて触れて考えてきたことすべて、つまりその人の生活に根差したこれまでの積み重ねにプラスして、その人なりの「今とこれから」を感じさせる何かを表現したものがスタイルなのだと。
私にとって、日々のおしゃれを楽しむことは自己表現であり、趣味であり、生活、ひいては人生の一部になっています。それは多くの女性にとっても同じなのではと思っています。
敬愛するダイアナ・ヴリーランドの言葉にこうあります。
「新しい服を着るだけではダメ。その服でいかに生きるかなの。」
michill世代の皆さんが自分らしいおしゃれを楽しむためには、何を買ってどう着るかよりもまず先に、社会生活の中で人として、女性として、これからどうありたいか、どんな暮らし方をしたいか、どう生きたいかを知る=ライフプランを知ることが必要不可欠なのではないでしょうか。
あなたのそばにいるスタイルのある知人や先輩に、これからどんなふうに暮らしたいか聞いてみてください。すぐ具体的に答えてくれるはずです。
左)四角いフェイスのティソは義母のおさがり。
たぶん70年代のモノだと思うが、1.5センチ角の小さなフェイスに控えめなシルバー色、全体が醸し出す上品で簡素で柔らかな印象は、義母そのもの。私の雰囲気やワードローブにも合うため、ベルトを黒いクロコダイルに変えて、2009年からオメガと交互に使用している。
右)26歳の時にアンティークウォッチフェアで一目惚れした18金のオメガ。直径1.4センチの丸く小さく細い時計は1950年代製で状態も良かったため、衝動買いできる値段ではなかったが、きっとあまりに気に入ってお目目キラキラ状態だったらしく、店主さんが「本当に大事にしてくれそうだから」と15%くらいお勉強してくれた。店さん、20年大事に使っています。
michill世代当時から40代になるまで、私のスタイルの背景にどのような考えがあったのかを振り返ってみます。既婚・子供なし(夫の年齢かつ子供が苦手・私の体調の悪さから作る予定なし)・外資系金融派遣・一回り以上年上の夫は外資系通信会社営業部長。
夫婦の目標は、経済的自由を手に入れ、会社に縛られずに暮らすこと。
そのためには、時給もよく働きやすい当時の職場に勤め収入を得て、早く自宅ローンを繰り上げ返済したい、家庭では夫がさら仕事に打ち込めるようサポートしたい、と思って暮らしていました。
収入はそこそこありましたが、ローン返済に充てていましたので、おしゃれが趣味の一つであってもかけられる金額は限られています。ZARAやH&Mのようなファストファッションはなく、ヤフオクはまだ規模が小さく、当然メルカリもなく、それなりの洋服を買うにはある程度お金を出さなければならなかった時代です。
そこで、オフィスウェアとしても、夫関係のお付き合いやバレエ鑑賞、休日の外出着としても通用する服装について考えます。自分好みで、外見と内面の魅力を引き出し、夫や職場のみんなをも幸せにする服装はなんだろうと。
「きちんとしながらも遊び心のあるコンサバモード」
思い浮かんだキーワードは「きちんとしながらも遊び心のあるコンサバモード」ヒッチコック映画やオードリー・ヘップバーンの衣装を手掛けたイーディス・ヘッドのスタイリングや60年代後期~70年代のイヴ・サンローランをお手本に、シルエットの美しいシンプルで洗練されたアイテムを用い、キーワードにぴったりくるコーディネートができるよう心がけました。
元々20代のころからスリットが深めの膝丈タイトスカート、襟の詰まった柔らかい素材のトップス、体につかず離れずのサックドレスが好きだったため、手持ちのアイテムを十分に活かせます。あとは限られた予算で似合う色・サイズの問題をクリアし、時代性を取り入れながらワードローブを入れ替え、それが次第にスタイルとなっていったのはごく自然な流れでしょう。
経年とともに手持ちアイテムのシルエットやサイズ感を少しずつアップデートしましたが、ベーシックアイテムは30代前半から勤めを辞める最近までほとんど変わっていません。
考え方の手順です。①~③まではそれぞれ5項目ぐらい箇条書きでかまいませんので書き出してみましょう。
1.今現在、あなたはどんなテイストのおしゃれやアイテムが好きで似合うと思いますか?
2.あなたは会社(仕事)・家庭・地域で、今とこれから3年後、5年後、10年後、どうありたいですか?どう暮らしたいですか?
3.2で思い描いたこれからのあり方や暮らしに合わせ、その時その場で何を着ていたら自分は心地よく、またふさわしいでしょうか?テーマやキーワード、アイテム、なんでもOK。
4.1で考えた好きで似合うおしゃれ・アイテム、③で書き出した心地よくふさわしいおしゃれのキーワードやテーマ、アイテム、の共通点を探しましょう。
5.共通点がある場合は、今のワードローブを活かしながら②③で導き出したこれからの自分のヴィジョンに合わせ、本当に必要で欲しいものを少しずつワードローブを揃えていきましょう。
6.予算もしっかり組みましょう。月単位だと細切れになってしますので、年単位で。私の場合は収入の約15%でした。
7.これからのために本当に必要で欲しいものはたいてい高価なものでしょう。ウィッシュリストを作り優先順位の高いものから手に入れる計画を。希望の色・素材・デザインなどディテールをしっかりリストに書き込んで。
8.予算は限られていますので、ヴィジョンに合わないもの・ウィッシュリストにない適当なものは買わない・買えない覚悟を。特に衝動買いしやすい1万円から3万円のものに注意!
9.もちろん似合わなかったり、ストレスで衝動買いしたりと失敗することもあるでしょう。でも、やってしまったことは仕方ありません。そして失敗から得るものはたくさんあります。なぜ失敗したのかをよく分析し、次に生かしましょう。あとは早めにリサイクルなどに出して、次の購入資金にあてましょう。
10.7で手に入れたものは、お気に入りで着用回数も多く、満足度の高いものです。こうして、あなたのこれからに合ったお気に入りを一つずつ手に入れ、着る・使うことでスタイルが作られていきます。
まだまだ若く積み重ねが少ないmichill世代の皆さんが今すぐ手に入れられるものではありません。また、これから積み重ねていく部分がどんどん増えますし、少しずつ変化していきます。型・様式という意味でのスタイルが見えてくるまでに3年くらいかかるかもしれませんが、焦る必要はまったくありません。常に今とこれからのヴィジョンと向き合っていれば大丈夫。現に私のスタイルも、通勤の必要がなくなったこの冬から少しずつ変わってきているのですから。
おすすめの映画M
「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」
おすすめの本
「素敵の法則」著・政近準子
この記事のライター
mucco
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ケチと贅沢の両立を目指すライフスタイルを綴る「ケチケチ贅沢日記」を2008年より運営。今や月間100万PVを誇る人気ブログ。東北地方の短大を卒業後、東京で服飾雑貨の販売とVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)に従事。学生時代から好きだった英語を生かそうと雑誌翻訳業を目指しながら働いた外資系企業で、経済的自由と多様性の大切さを知る。
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