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ここ数年で不妊クリニックが沢山開業しています。不妊クリニックを覗くと、待合室にたくさんの人。えっ!こんなに不妊で悩んでいる人がいるの?!と、びっくりするかもしれません。今回は、あれれ?不妊?!と思ったら、ということで簡単な基礎知識をご紹介します。
不妊に悩むカップルは10年ほど前の10組に1組から、最近では8組に1組、医師によっては6組に1組ぐらいあるのではないかと、おっしゃる先生も。それだけ不妊で悩んでいる人が増えているのですね。
理由はいろいろあるかと思いますが、以前より初婚年齢が高齢化したことが一番大きいですよね。
だからといってそんなに早く結婚できない、今はまだ子供は欲しくないなど、自分の仕事ややりたいことと、結婚や出産のタイミングを考えると難しいこともありますね。
不妊で悩む人からの、「お友達はすぐに妊娠したのに…」「避妊を止めたらすぐにできるもの!と思っていたのに…」という声をよく耳にします。
試験や仕事の様にがんばったら成果が上がる!と、一概にならないのが『妊娠』。
今まで、学業や仕事で頑張った分だけ上手く行った人は特に、この思うとおりに行かない『子供を授かる』ということに対して余計に悩んでしまいます。
そして、こういったストレスも良くない、という悪循環で、さらに落ち込んでしまいます…(涙)。
不妊とは、「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの」となります。
一定期間は1年というのが一般的と日本産科婦人科学会が定義しています。
子供を作ろう!と思って避妊しない性交をしているのに、あれれ?なかなか赤ちゃんができない…と思って、1年経過しているようでしたら、一度、婦人科を訪ねてみましょう。
特に結婚年齢が30代後半(37~8歳以上)であれば、1年待っているとあっという間に40歳近くになってしまいます。
子供を作ろうと思った時が30代後半以降であれば、普通に性交をして妊娠に向けた活動(妊活)をするのはもちろんですが、念のため婦人科系の検査も合わせて行っておくといいでしょう。
その他、生理不順である、生理痛が酷い、出血が以前より多くなったというような婦人科系で気になることがある場合や、肥満がある(BMI25以上)または痩せすぎの人は、性交での妊活と並行して、一度婦人科で診てもらいましょう。
妊娠したらどちらにせよ婦人科・産科にはかかるのでその準備としても大切ですね。
※不妊の原因の半分は男性と言われているぐらいです。女性だけ検査して何もなかった場合は、男性も診てもらいましょう。
最近は、男性不妊専門クリニックなども登場しています。
もちろん、最初から夫婦そろって検査をしておくのがおすすめです。
妊娠は男女あってのことですし、もし不妊治療を行うにしても夫婦二人の協力がとっても大切だからです。
不妊で受診しよう!と、なった時に、そのまま受診してもいいのですが、特に持病が無ければ、2、3か月分の『基礎体温表』を持っていくと治療がスムーズに始められます。
子供が欲しいな!と、思う前から基礎体温表をつけていただきたいのですが、私の周りでもそうですが、不妊クリニックに行く前からつけている人は、あまりいないかもしれません…。
確かに、毎朝、起床前に布団の中で体温を測って…グラフにして…と、忙しい朝にちょっと面倒くさいですよね。
ただ、妊活のためだけではなく、女性ホルモンのリズムを知ると結構便利です。
生理前に憂鬱になったり、体重の増加など、女性は女性ホルモンのせい(おかげ?)で、気分や体調が変わることがよくあります。
自分のリズムを知っておくと、「重要な予定をずらしておこう」とか、「このあたりはいつもイライラして旦那さんと喧嘩ばかりしてしまうな」「衝動買いをしたり仕事で変な決断をしてしまうなー」など、何となく傾向がつかめる場合もあります。
と、話は少しそれましたが、基礎体温表を作っておくと、婦人科の医師も治療計画が立てやすくなり、早めに色々なことができますので、妊活にとってもメリットがあります。
逆に言うと、基礎体温表なしで受診してしまうと、一応必要な検査などできるものはしますが、「まずは、基礎体温表を2ヶ月でも作ってきて。それからかな。」と、出直しになる可能性も高いのです。
基礎体温表からは、排卵しているかどうかや、排卵日やその間隔などが分かります。
ただ、よく例にあるようなきれいな2層になることは少なく、グラフがギザギザする中で、何となく2層になっている感じのように見えることが多いものです。
ですので、少なくとも2か月以上は傾向をみていかないと判断がしにくいでしょう。
基礎体温表は、薬局などでも数百円程度で売っていますが、ネットで検索してダウンロードして使うといいかもしれませんね。
また、最近では、測った体温をアプリに入力してグラフを作ってくれて、排卵日(避妊している際には危険日ですね)を予測してくれる機能もあるようです。
さらに、少し高いですが、体温計とグラフを作る機械が一体化したようなもので、体温を測ったらそのままグラフにしてくれるというものもあります。
この基礎体温表から、医師は排卵している可能性があるかどうか、排卵日付近に性交がなされているかなども判断しながら、不妊治療を進めていきます。
妊活を始めようと思っているみなさん!まずは、基礎体温表をぜひ、作ってみてください!
この記事のライター
薬剤師
三上彰貴子
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外資系製薬会社勤務後、慶應義塾大学にてMBA取得。卒業後、朝日アーサー・アンダーセン(現PWC)にて主に医療分野のコンサルティングを手がける。2005年より独立し、株式会社A.M.C代表取締役となり、製薬会社・化粧品会社関連のマーケティング、人財育成セミナーなどを行う。現在は、薬科大学博士課程にて研究も行う。その他、薬局薬剤師、登録販売者向けの講師、薬科大学非常勤講師としても活躍中。
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