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「山岳温泉にめざめ、飛騨デザインに寛ぐ宿」をテーマとした岐阜県にある星野リゾートの温泉旅館「界 奥飛騨」に、俳優でフォトグラファーの染谷ノエルが訪問。そこでの体験を2回にわたってレポートします。2回目はご当地楽「飛騨の匠体験」、自然の中にたたずむ飛騨木工の技が光るアーティスティックでモダンな建物、中庭を中心とした回遊空間など「界 奥飛騨」で体験してきたアクティビティや施設の紹介です!
【ご当地部屋や豪華な夕食を紹介した1回目の記事はこちらから】
山々から昇る朝日を浴びながら、朝食前にゆっくりと身体を目覚めさせる「奥飛騨やまびこ体操」を中庭で行います。澄んだ空気の中、自分の体を労わるように、呼吸を意識しながら、まずは界共通の体操から。
「界 奥飛騨」独自の体操では、飛騨の木工技術にちなみ、木の棒を使用します。木こりをイメージし、木の棒を斧に見立て、木を切り倒す動作です。斧を構える姿勢は、片足を前に、アキレス腱を伸ばすようにして、膝を落とし、斧に見立てた木の棒を振り下ろしていきます。
振り下ろすときに、木こりにちなみ「へい、へい、ほー!」と掛け声をかけます。次は、切り倒した木を切って、丸太にしていく体操。木の棒は、斧からノコギリへと変わり、体全体で切る動作をしていきます。最後は深呼吸。参加者全員で掛け声をして、一体感が生まれます。
界 奥飛騨の公式サイトをチェック >地域色を感じる食材や調理法を取り入れた界の「ご当地朝食」。「界 奥飛騨」のご当地朝食は、干し野菜やえごま、朴葉蒸しなど、飛騨ならではの食材を取り入れた和食膳です。
地元名産の紅芯大根(こうしんだいこん)や寒干し大根(かんぼしだいこん)をはじめ、五種の干し野菜が入った「干し野菜と豚肉の味噌鍋」はやさしく体に良さそうな味わい。奥飛騨は雪深い地域ということもあり、干し野菜や漬物などの保存食を食べる習慣があるそうです。
サラダには、黒ごまとえごまを自分ですり、ドレッシングに混ぜ合わせたものをかけていただきます。ドレッシングは、地元の醸造所がゆずと味噌を使って「界 奥飛騨」のために作った、オリジナルのものです。
伝統工芸、芸能、食など、地域の特徴的な魅力が満喫できる「ご当地楽」。「界 奥飛騨」のご当地楽は、1300年以上にわたる飛騨の匠の歴史に触れる「飛騨の匠体験」。離れ棟のトラベルライブラリーで、木の手触りや香りを感じながら、飛騨の木工技術を体験します。
まずは、木工技術が発展した歴史から学びます。曲木は、170年ほど前にドイツで誕生し、曲木の技術を用いた椅子が流行。100年ほど前に日本にも伝わりました。飛騨の匠は圧倒的な品質を武器に他の地域との差別化を図り、宮内庁御用達や、サミットの椅子に採用されるなど、世界的にも評価されることとなりました。
曲木とは、木材に水分を含ませ、高温で軟化する性質を活かして曲げる技術です。ご当地楽では、用意された厚さ3mmの木材を実際に曲げて、写真のように界オリジナル風呂敷を結んだ、曲木のバッグハンドルを作ります。
作ったハンドル部分は、持ち帰ることができるので、他の界施設宿泊時に、用意された風呂敷と組み合わせて使うことができます。もちろん、お手持ちの風呂敷でも。結び方を変えて、アレンジするのもおすすめです。界のご当地楽は初心者はもちろん、不器用な私でも楽しめるものが多く、毎回安心してトライできます。
ロビーに入ると、フロントカウンターまで導かれるように一直線に続く木の道が現れます。木の道は「川」を、左右のソファーは「岩」をイメージしているそう。
フロントの奥には、山あいを流れる雪解け水を模した白いタイルが輝いています。雪解け水が山あいを伝い流れ、滝となり、滝壺のようなフロントを越え、川となって流れていくというストーリー、とのこと。
フロントの天井から吊り下がる装飾や、天井を覆う板にはクリやナラなどの広葉樹が使われていて、1枚1枚木の色や模様が異なり、複雑な表情を見せます。
一見黒く見える壁も、よく見るとキラキラと光っていて、雪を表現しているそう。床、壁、天井の全てで飛騨を表現しているような空間です。
離れ棟のロビーに併設されたトラベルライブラリーにも、ふんだんに木材が使われています。テーブルや椅子ももちろん木製。曲木の椅子はここにも設置されています。特徴的な木の壁に使用されているのは、ブナ、タモ、サクラ、ナラの4種類の広葉樹。それぞれの木の色や木目を活かしたデザインになっています。
木の壁には実際に使われていた木工具が飾られています。離れ棟はご当地楽の会場でもあり、体験の際に参加者に匠の息遣いを感じ取ってもらいたい、という思いで演出されています。
金槌やカンナなど、実際に使われていた工具を見ることができるのは貴重な体験です。
ご当地楽の体験で作る曲木のバッグハンドルは、トラベルライブラリーにも展示されています。飛騨の伝統的な技術である曲木をはじめ、匠の技術に関する書籍が数多く置かれています。実際に曲木の椅子に座りながら読むのも、足湯で楽しむのもおすすめ。
ロビーに併設されたお土産売り場にも、木工技術が光るお土産がずらりと並びます。
くるみなどを使ったかごバッグ、木の皮を使用したイヤリングなどのアクセサリー、コースターや一輪挿し、頷くように揺れる「ウナズキドリ」や見上げる「ミアゲドリ」といった置き物など、さまざまなアイテムが揃っています。
飛騨の言葉で“猿の赤ん坊”という意味の“さるぼぼ”が積まれている「TSUMIBOBO つみぼぼ」も可愛い!
トラベルライブラリーでいただけるハーブティーや、明治41年から作られている老舗の味噌煎餅などのお菓子も販売されています。可愛らしい味噌煎餅のパッケージのイラストは、春夏秋冬で変わるそう。
今回私は、木でできた一輪挿しを自分へのお土産に選びました。やはり、木で作られたものを選びたかったのと、自宅でドライフラワーやお花を活けることも多いので、一輪挿しに。丸みがあり、つるっとしていて可愛いフォルムです。
木製なので、ガラスや陶器に比べてとても軽く、お土産やプレゼントにぴったり。ひとつひとつ、少しずつ色や形が違うため、お気に入りのものを見つけるまで迷う人も多く、人気の商品だそう。
木の温もりと、山の息遣いを感じられる宿「界 奥飛騨」。友達同士やカップル、家族はもちろんですが、ひとり旅の人に特におすすめです。界初のひとり部屋は、私のようにひとり旅をすることが多い人にとって、本当に嬉しいことではないでしょうか。
ひとりで温泉に浸かり、風を感じて山を眺め、足湯に入って、美味しい食事をいただく。ひとりでも木の温もりが包んでくれる。肌寒くなる紅葉の季節や雪景色の季節も、とても良いのではないかなと思います。ひとりでゆっくり休んで、エネルギーを蓄え、また明日からがんばろう、と思うことができる場所です。
界 奥飛騨の予約はこちらから! ><住所>〒506-1433 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯138
<TEL>050-3134-8092(9:30〜18:00)
<駐車場>あり
<車>中部縦貫自動車道「平湯IC」からから約5分/JR「高山駅」から車で約45分
<電車・バス>平湯バスターミナルから徒歩で3分
※この記事は2024年10月の取材内容に基づき執筆されています。時期により、イベントや食事などの内容が変更になっている可能性があります。詳細は「界 奥飛騨」にお問い合わせください。
星野リゾートの温泉旅館「界」をチェック >染谷ノエル(Noel Someya) / 俳優・フォトグラファー
東京都出身。演劇を学ぶため中学卒業後に単身渡英し、ノーサンプトンのBosworth Independent Collegeなどに通う。4年半後に帰国、上智大学にて英文学を専攻。在学中より劇団、東京ジャンクZに所属、舞台俳優のキャリアは15年目を迎える(2023年時点)。写真は留学中、"Photography"の授業がきっかけで本格的に取り組むようになった。旅や日常をドラマチックに切り取る表現を得意とし、雑誌やWEBメディアなどでの作品掲載多数。 撮影、執筆、被写体の三役をこなすキャリアを活かし、取材、連載などでも活躍する。
Twitter: @noel_engeki
Instagram: @noelle.s12
STAFF
Photo&Writing:Noel Someya
Edit:michill編集部
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