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「アート心が湧きたつ アトリエ温泉旅館」をテーマとした、神奈川県箱根にある星野リゾートの温泉旅館「界 仙石原」に、俳優でフォトグラファーの染谷ノエルが訪問。そこでの体験を2回にわたってレポートします。1回目は露天風呂付きの客室や、アーティスティックな美しさが引き立つ器に盛られた特別会席などをご紹介。「界 仙石原」の魅力をたっぷりとお届けします。
「界 仙石原」は、箱根・仙石原エリアに位置する、全室客室露天風呂付きの温泉旅館。滞在を通して五感を研ぎ澄まし、館内のアート作品との出会いを通じて、内なる表現欲を刺激する場所になることを目指した宿です。
開業前には、国内外のアーティスト12名が、創作活動を支援する短期滞在型のプログラム「アーティスト イン レジデンス」として「界 仙石原」に滞在し、創作活動を実施。「箱根」や「仙石原」をテーマに制作した完成作品が客室を彩り、この地でアーティストが感じたものが表現され、滞在する人を自由な感性に誘います。
「界 仙石原」までは、強羅駅からタクシーで約15分。周囲には複数の美術館といった文化施設が充実していて、仙石原すすき草原や箱根湿生花園などの自然美も豊か。宿を拠点とした観光でも、アート心が刺激されます。
界 仙石原の公式サイトをチェック >大涌谷温泉の白濁した酸性の泉質を存分に楽しめる源泉かけ流しのあつ湯と、真湯のぬる湯のある内風呂。あつ湯では、短時間の入浴でも身体がしっかりと温まり、肌が滑らかになります。あつ湯で温まった後にぬる湯に浸かると、肌を落ち着かせることができるそう。
露天風呂では、四季折々の景色、桜や新緑、紅葉や雪景色を楽しみながら入浴できます。夜は、露天風呂の外側に流れる水庭にちりばめられた蓄光石が、日中に蓄えた光を柔らかに放ち、アーティスティックな光景を生み出します。
全客室に露天風呂がありますが、大浴場でゆったりとくつろぐ時間は格別です。ぬる湯や露天風呂は真湯なので長湯にも向いています。
「界 仙石原」の湯守りがガイドとなり、泉質や自然環境、効果的で楽しい入浴方法などを教えてくれる「温泉いろは」。古くから温泉に親しむ箱根の歴史や白濁した温泉の、pH2.0の酸性の泉質などについて、クイズをまじえながら楽しく学べます。
酸性の値は、レモン果汁と同等と言われるほど。一度の入浴で余分な皮脂やくすみ、角質などを取り除く効果が期待できるので、スタッフは「美肌の湯」と呼んでいるそうです。湯治の歴史も古く、戦国時代の武将が長期滞在し、毎日温泉に入ることで傷を癒していたとか。
開放的なテラスのある湯上がり処。壁に飾られたアート作品と、窓から見える季節ごとの景観が調和する空間です。大きなソファーが二つあり、ゆったり過ごせます。
箱根山麓一帯で生産されている足柄茶と、箱根からほど近い小田原の名産品でもある柑橘類、緑(あお)みかんジュースが、湯上がりドリンクとして用意されています。
湯上がり処の壁に飾られているのは、うさぎがモチーフの絵画。11月28日まで別館のサロンで個展が開かれていた、「アーティスト イン レジデンス」参加者でもある加藤正二郎氏の作品です。
雄大な自然を望む客室は、全室露天風呂付き。テラスにある湯船から季節や時間の移ろいを感じながら、プライベート空間で温泉を楽しむことができます。
ソファーが置かれたリビングスペースには琉球畳が敷かれ、リラックスできる空間です。
部屋の壁に飾られた田中紗樹氏の絵画は、芦ノ湖でインスピレーションを得た風と光のリズムを描いたものだそう。感じたものが呼び起こす色彩やその感性に惚れ惚れとしてしまいます。
私自身、何度も箱根の様々な地域を訪れたことがあって、田中さんと同じように感じたこともきっとあります。でも、同じものを見ても、もし同じように感じていても、やはり人によって表現は違って、美しさは何種類もあるのだな、とあらためて感じました。
小田原のガラス作家「ipada(イパダ)」の濱舘寛氏と村木未緒氏のデザインによる、ガラスのランプシェード。昼と夜で表情を変え、昼にはオブジェとして透明感と美しさが楽しめ、夜にはガラスを通した柔らかな光が壁や天井にまで美しく投影され、光に包み込まれるようです。
テラスにはテーブルとチェアがあり、雄大な景色を心ゆくまで眺められます
夕方は空が薄紫色に染まり、とても澄んだ空気を感じることができます。時間によっては光が大きく差し込み、目の前の山々や木々が一層美しく見え、思わず深呼吸したくなります。部屋に差し込む光も時間帯によって変わるため、作品から受ける印象の変化も楽しめます。
ベッドでくつろぎながら窓を見ると、ガラスのランプシェードの向こうに外の景色が見え、すぐ近くには絵画があります。心を落ち着かせて、絵と触れることができます。
私は、本を読んだり、お茶を飲んだり、特別なことはしなくても、少しだけ絵に想いを馳せながら窓の外の景色を見るのが好き。そしてなんとなく過去のことを思い出したりしながら、眠りにつくのが心地よい。旅先での過ごし方は様々ですが、「界 仙石原」では、その部屋にある絵を眺めて、少しだけ箱根という場所について考えてみる、というのも素敵かもしれません。
お部屋の冷蔵庫には、いくつかドリンクが入っていて、その中のひとつは小田原のクラフトコーラ。小田原市産の曽我の梅を使用した、濃厚な甘みと爽やかな香りが特長の、後味のすっきりとしたコーラです。
かすみ草やワスレナ草、タゲテス ゴールドメダルなどの草花が可愛らしくアーティスティックなルームキー。定規の目盛りをモチーフとしているそう。透明な素材は光にかざすとさらに美しく、触り心地もよくて、お気に入りの作品のひとつとなりました。
客室フロアの廊下など、館内のどこにいてもアートに触れられます。小さなものも見逃さないでください。
「界 仙石原」の中で最も広い103平方メートル超のスイートルームは、リビングスペースやテラス、露天風呂すべてが広々とした、ゆとりのある空間です。
別館の客室はこのスイートを含め3室のみで、おこもり旅に最適です。アートに触れる「界 仙石原」の中でも、一段と非日常が感じられます。
ベッドサイドの絵画は青が印象的。
広々としたリビングルームの大きな窓からは、仙石原の景色が一望できます。
手作りのガラスのランプシェード。気泡も表現のひとつです。
客室露天風呂とは思えない広さ。時間とともに変わりゆく景色を堪能できます。
今回の旅は、温泉で体を温めたくなる冬限定の「界の温泉ひとり旅」プランで。温泉旅館は2名からの場合が多い中、ひとり旅の多い私は歓迎されているようで、とても嬉しいです。
全室客室露天風呂付きの「界 仙石原」なら、好きな時に好きなだけ部屋の露天風呂が独り占めできます。ひとりで気兼ねなく味わう「ひとり鍋会席」も嬉しいポイント。食事スペースは半個室で、周りの視線も気になりません。ひとりで静かに贅沢な時間を過ごすのにぴったりなプランです。
さらに地域の伝統工芸品や文化に触れられる「地域色豊かなご当地グッズ」、入浴後に嬉しいドリンク「湯上がりご褒美セット」がひとり時間を豊かに彩ります。
ひとり時間に没頭できる「地域色豊かなご当地グッズ」として、「界 仙石原」では客室内の露天風呂に浸かりながら風景画を描くことができる「温泉パレット」が用意されています。
目の前にイーゼルやパレット、絵筆や色鉛筆があるのはなんとも不思議ですが、ゆらゆらとお湯の上に浮かび揺れるパレットと筆に心躍ります。
色鉛筆を少し濡らしながら、水彩画のように描くのも素敵です。目の前の景色を堪能しながら、それを絵にしたら、想い出も一層色鮮やかになるのではないでしょうか。
入浴後に自由気ままに楽しめる「湯上がりご褒美セット」にも気分が上がります。箱根で作られたクラフトビール「箱根麦酒」や、ご当地ジュース「湘南ゴールドサイダー」、スパークリング酒、甘酒に加えおつまみなどのご当地ならではのセットが、旅に彩りを添えます。
フルーティーでホップの香りが際立つ「箱根麦酒」は、苦みとのバランスがとれたインディアペールエール。度数が高めで、飲みごたえを感じられます。
おつまみは箱根にあるラスク専門店のミルクチョコレートラスク。後味があっさりした、とても美味しいラスクです。
アーティスティックな美しさが引き立つ器に盛る料理や、趣向を凝らした感性に響く料理も「界 仙石原」の楽しみのひとつ。箱根は山の幸だけでなく、相模湾や小田原の海の幸が味わえるエリア。
箱根の宿場町をイメージした半個室で、器と食のアートを堪能しながら視覚も味覚も満足する会席を、ひとり鍋コースでいただきます。
先付けは「サーモンの瞬間燻製 フルーツと小野菜」。ドーム型のガラスの器を開けると、もくもくと煙があらわれ、燻製の香りが漂います。煙は大涌谷の噴煙に見立てたものだそう。仙石原の豊かな草花をイメージしたメニューで、林檎の歯ごたえが特徴の一品です。
煮物椀「南京のすり流し」は、大根餅の揚げだしや花麩とともに。柚子の香りが利いています。
繊細な「宝楽盛り」もアートな器で。錫(すず)の大きな器に盛られた八寸は、大涌谷の噴煙が広がっている様子を表しているとのこと。横長の器は画家の絵筆箱をモチーフとしていて、中にはお造りの取り合わせが。
甘めのお醤油となめ茸醤油、2種類の味でいただきます。この、特製のなめ茸醤油が驚くほど美味しい!
揚げ物は、白子と魚のすり身を豆腐のように柔らかい食感で仕上げた「白子豆腐の包み揚げ」に「たたき海老の新挽き揚げ」。奥の野菜の天婦羅は海老芋とブロッコリーです。
メインの台の物は「雲丹と牛のすき鍋」。たっぷり用意されたお肉と雲丹に期待が高まります。
スタッフがお肉を焼いてくれる時の、じゅ~~という音が響いて食欲が刺激されます。割り下を入れた後に、緑みかんのシロップも入れるのが、「界 仙石原」流。すき焼きの甘い香りの中に、爽やかな香りが広がります。
これでもか!というほどたっぷりの量の雲丹を入れて、いただきます。雲丹好きにはたまらないのではないでしょうか?もちろん、雲丹だけを味わってもよし、お肉や野菜と一緒に食べてもよし。お好みで味わってみてください。
つやつやの土鍋ごはんは、すき鍋にぴったり。
甘味は「界 仙石原」特製の「竹炭フィヤンティーヌ」。フィヤンティーヌとは、フランス語で“薄く焼いた”を意味します。ミルクのアイスクリームと季節のフルーツとともに、ススキをイメージした器に盛り付けられています。
ソースはカスタード風味で、アイスクリームの上には生姜を甘く煮詰めたものがのっています。
今回は、ご当地部屋「仙石原アトリエの間」や大浴場など施設の情報をたっぷりとご紹介しました。
「界 仙石原」で体験できるアクティビティを紹介した記事も、併せてチェックしてみてくださいね。
界 仙石原の予約はこちらから! ><住所>〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817-359
<TEL>050-3134-8092(9:30〜18:00)
<駐車場>あり
<車>東名高速道路「御殿場IC」から約20分/箱根登山鉄道「強羅駅」から15分
<電車・バス>箱根登山鉄道「強羅駅」からタクシーで約15分
※この記事は2024年11月の取材内容に基づき執筆されています。時期により、イベントや食事などの内容が変更になっている可能性があります。詳細は「界 仙石原」にお問い合わせください。
星野リゾートの温泉旅館「界」をチェック >染谷ノエル(Noel Someya) / 俳優・フォトグラファー
東京都出身。演劇を学ぶため中学卒業後に単身渡英し、ノーサンプトンのBosworth Independent Collegeなどに通う。4年半後に帰国、上智大学にて英文学を専攻。在学中より劇団、東京ジャンクZに所属、舞台俳優のキャリアは16年目を迎える(2024年時点)。写真は留学中、"Photography"の授業がきっかけで本格的に取り組むようになった。旅や日常をドラマチックに切り取る表現を得意とし、雑誌やWEBメディアなどでの作品掲載多数。 撮影、執筆、被写体の三役をこなすキャリアを活かし、取材、連載などでも活躍する。
Twitter: @noel_engeki
Instagram: @noelle.s12
STAFF
Photo&Writing:Noel Someya
Edit:michill編集部
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