更新日:2019年7月5日 / 公開日:2017年11月7日
子育てや介護をきっかけに、労働時間を短くした「時短勤務」で働く女性が増えています。では、時短勤務だけど、忙しくなって残業や休日出勤が増えてしまったという場合、残業代はどうなるのか?社会保険労務士の浦野さんが教えてくれました。
労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超えて働いた場合が、労働基準法の時間外労働で、割増賃金の対象になります。割増率は25%以上と定められており、時給1000円の労働者で、1日8時間を超えて働けば、割増分を含めて、最低限時給1250円となります。
では、時短勤務の労働者が、残業をした場合どうなるのか?
例えば、1日6時間勤務の労働者が、忙しい日に10時間働いたとします。8時間超の2時間は、当然、法定労働時間外の「法定外残業」とされますので、25%の割増賃金が必要になります。8時間までの2時間の残業は、法定労働時間内での残業「法定内残業」ということになり、法定内残業であれば、割増賃金は必要ありません。時給1000円の労働者であれば、割増の時給1000円を使用者は支払えば良いということになっています。
通常の労働時間が8時間であれば、8時間を超えた分は割増対象(25%以上)ということになります。
通常の労働時間が6時間で、4時間残業したという場合、8時間までの最初の2時間は割増なしの通常時給、8時間を超えた2時間は割増(25%以上)ありの賃金ということになります。
労働基準法では、休日は、1週間に1回あるいは4週間を通じて4日以上付与することと定められています。この法定休日に労働をさせた場合、労働基準法の(法定)休日労働で、割増賃金の対象となります。割増率は時間外労働よりも高く35%以上と定められています。
労働基準法上での休日は、「週1日」ですので、週休2日制の職場の場合、就業規則等でうち1日が「法定休日」と定められていることがほとんどです。(日曜が法定休日、土曜は法定外休日と定めてある事業所が多いです)。2日の休みの1日は法定休日で休日労働割増の対象、1日は法定内の休日で休日労働の割増対象にはなりませんが、週40時間を超えていれば、時間外労働の割増対象ということになります。
1日8時間勤務・土日休みの労働者が月曜から日曜まで7日間連続で働けば、土曜日の8時間は時間外25%以上の割増対象、日曜日の8時間は休日労働35%以上の割増対象ということになります。(※日曜が法定休日、変形労働時間制でない場合)
では、時短勤務の労働者が、休日に出勤した場合どうなるか?これは通常の労働時間の労働者と同じで、法定休日に出勤すれば、35%以上の割増対象となります。但し、法定外の休日の場合は週40時間以内の範囲であれば、時間外割増の対象とはなりません。
土日休みだけど、両日とも出勤というケース。法定休日である日曜日は、休日労働割増35%以上の対象となります。土曜日は週40時間以内の範囲内ですので、基本時給ということになります。
事例③と休みは同じだけど、1日の所定労働時間が7時間という場合。法定休日である日曜日は、事例3と同じで休日労働割増35%以上の対象となります。土曜日に7時間勤務で週42時間となるので、40時間を超えた2時間のみ、時間外労働25%以上の割増対象となります。
勤務時間が「勤務シフト表」で定められている1ケ月単位の変形労働時間制を導入の職場の場合、あらかじめ定められたシフト表で、特定の日に1日8時間を超える労働時間が定められていても月平均週40時間内であれば、法定時間外労働とはなりません。但し、当初のシフトで定められた時間を超えて働いた場合、月平均週40時間内であれば、法定内残業として割増なし、月平均週40時間超であれば時間外労働25%以上割増対象となります。
休日労働も4週4日の休みがとれずに働いた場合は、休日労働35%以上割増対象となります。
変形労働時間制の場合でも、割増対象となる基準は、週40時間(月平均週40時間以内)、法定休日週1日(4週4日)の基本原則は同じですが、シフト表により、割増の対象となるかどうかの判別が難しくなることもあります。時短勤務だけど繁忙期等で残業や休日出勤が多い場合、あらかじめ会社に、どのような場合に割増対象となるかを確認しておいた方がよいかもしれません。
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