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薬剤師の三上彰貴子です。アルコールと薬の飲み合わせについては、よく相談を受ける質問です。もちろん一緒に飲んではNGです。が、薬によっては、飲むタイミングをずらせるものもあります。主治医やかかりつけの薬剤師に自分の薬について聞いてみるといいですね。ただお酒を飲むから薬を飲まない!は、止めてくださいね。
この時期、風邪や花粉症の薬を飲んでいる人からの質問があります。
「今から会食がありますが、風邪薬や花粉症の薬はいつ飲めばいいですか…?」
そもそも、お酒と薬は一緒に飲んではNGです。が、風邪や花粉症などのアレルギーを持っている人は、薬を飲まなくてもお酒は控えめにしておいた方がいいですね。
その理由は…アルコールは一杯程度ぐらいでしたらいいのですが、飲み過ぎは免疫力を下げます。深酒をした翌日に風邪っぽくなったということはありませんか?
風邪なのにアルコールを飲んで悪化することもありますので、「風邪気味なので」とビタミンAやCなどが入っている野菜ジュースを嗜むのもいいかもしれませんね。
また、少量のアルコールは、血管を拡張させて血行を良くする作用があります。花粉症のようなアレルギーの場合には、症状が悪化する場合があります。
ですので、薬と関係なくアルコールは控えるように、この時期は寂しいですが…ノンアルコールのドリンクで会話を楽しむ、酔っている皆さんの様子をみて楽しむ…(?)など、違う楽しみ方ができればいいですね。
「(ストレスやお酒の飲み過ぎなどで)胃が痛くて胃薬を飲んでいるのですが、お酒と一緒に飲んでいいですか?」という質問も受けたことがあります。
お酒のアルコールは、食道や胃の粘膜を荒らしてしまいます。アルコール度数の強いお酒をすきっ腹に飲むと、喉から胃の辺りが、かーっと熱くなる経験はありませんか?(私がお酒好きだから、すごい具体的ですが(笑))
アルコール度の高いウォッカのようなお酒ですと顕著ですが、その通ったところがただれるようになります。ただれて死滅した粘膜も3~7日ぐらいで細胞が回復していきますが、何度も繰り返して負担がかかることが問題です。
度数が低くても、何度も喉から胃を通過させていると、粘膜が折角修復しようとしているのに、悪影響になります。すきっ腹は、特にNGですが、何かを食べていてもお酒の量は少なめにするようにしましょう。
塩辛いおつまみはお酒がすすみます!私もとてもよく分かります(笑)が、塩分も胃粘膜を刺激してしまいます。甘いものの取り過ぎも胃に負担がかかります。塩辛と日本酒、チョコレートとウイスキー。ついつい止まらなくなりそうですが、胃の調子が悪い方は特に気を付けてくださいね。
それ以外にも、血圧が高い、血糖値が高いなど、生活習慣病のある方は、お酒を飲む量とおつまみに気を付けてくださいね。
お酒自体に眠気が出る作用がありますので、眠気が出る薬との服用はNGです。
睡眠薬やリラックスするお薬はもちろんですが、風邪薬、鼻炎、花粉症の薬なども、眠気が酷くなりますので、大変危険です。
よく、お酒お飲んでいる最中に、薬はお水で飲んでから、またお酒を飲み始める…という方がいらっしゃいます。
薬は水で飲んだよ!と言っても、それもダメです。胃で混ざったら一緒ですから。
眠気が出ない薬であっても、実際にはお酒と薬では治験(薬を発売する前の研究)は、されていませんので、データはありません。それゆえ、どのような状況になるかは予測不能と言っても過言でありません。絶対にやめてください。
薬は水で溶けて、その溶けた成分が吸収されて効果を発揮します。そのように作って研究されています。しかし、アルコールに薬を溶かすと、反応して成分が変化する可能性があります。どんな薬でも、同時に服用はNGです。
それ以外の理由として、お酒も薬も肝臓で代謝(無毒化)されて、体外に排泄されますが、お酒を飲んでしまうとお酒は猛毒ですので、薬の代謝がおろそかになってしまい、薬の血液中の濃度が上がってしまうことがあります。
また逆に、お酒を飲んで代謝の酵素が活性化していると、それにより薬の代謝が促進され、薬の血中濃度が下がってしまうことがあります。
これについては、データが出ている薬もありますが、『お酒』と一緒に飲むことはメーカーも想定していないのでほとんど研究されていないのが実状です。
では飲み会などの多いこの時期、どうしたらいいのでしょう…?
夜お酒を飲むことを考えると、夜に薬を飲まないようにできればいいですよね。
例えば、1日2回朝と夜に飲む薬は、1日1回朝にならないか、または1日1回夜に飲んでいた薬は朝1回にならないか、医師に相談してみてください。
薬によっては一日のどのタイミングに飲んでも大丈夫なものもあります。もちろん医師の見解・判断によりますが、朝1回、または昼ごろに1回の服用でよければ、夜の飲み会は大丈夫ですよね。だだし、飲み過ぎは要注意です。
風邪薬も、市販薬では1日2回程度のものもあります。1日2回の薬は6~8時間以上あけることが望ましいので、朝6~7時頃服用して、2回目は14~15時前後に服用すると、胃の中ではほぼ薬はなくなっていますので、18時スタートの飲み会には大丈夫です。
ただ、眠くなる作用としては6~8時間ぐらいは効いていますので、いつもよりお酒がまわってしまうことを自覚して、たしなむ程度(1杯程度)にしておくなどが良いかもしれませんね。もちろん、アルコールを飲まないに越したことはありませんが。
お酒の席でのお付き合いも大事ですよね。ですが、酔いが回り過ぎたり、気分が悪くなってその場を台無しにしてしまうことの方が、悲しくないですか?
体調がすぐれない時には、アルコールフリーのおしゃれなカクテルもありますので、お酒の雰囲気を感じながら、会話や食事を楽しめるといいですね。
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この記事のライター
薬剤師
三上彰貴子
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外資系製薬会社勤務後、慶應義塾大学にてMBA取得。卒業後、朝日アーサー・アンダーセン(現PWC)にて主に医療分野のコンサルティングを手がける。2005年より独立し、株式会社A.M.C代表取締役となり、製薬会社・化粧品会社関連のマーケティング、人財育成セミナーなどを行う。現在は、薬科大学博士課程にて研究も行う。その他、薬局薬剤師、登録販売者向けの講師、薬科大学非常勤講師としても活躍中。
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