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多彩な分野のさまざまな仕事を経験してきた赤坂 絵美。新しい部署への異動と時を同じくして、思いがけず親の介護が始まりました。仕事と介護の両立に悩みながらも、介護ERG活動を通して得た情報や仲間に支えられ、前向きに歩みを進めています。赤坂の仕事と介護への向き合い方とは。

▲現部署での介護卸向けの勉強会の様子
現在、私は高齢者向けの流動食や食事サポート食品、主に「明治メイバランス」ブランドなどを扱う卸店や、大手の調剤薬局への企画提案営業を担当しています。いつまでも元気に長生きするために低栄養予防への気づきを与えたり、病院を退院された後もご自宅で安心して栄養を摂り続けていただけるように、在宅の現場を支えるのが私たちの役割です。
「患者さまにどのようなお声がけをしたら、食事に関心を持ってもらえるか」といった具体的なポイントをお伝えしたり、低栄養が引き起こす問題についての知識を深める勉強会を開いたり。まずは私たちが扱う商品の知識をしっかりとお伝えし、その上で患者さまへ届けていただく。そのための丁寧なコミュニケーションを常に心がけています。
振り返ると、私が明治に入社したのは2003年で、栄養食品の営業からキャリアをスタートし、その後は栄養食品と飲料の商品開発やデザイン部門など、多彩なキャリアを歩ませてもらいました。そして今年の4月、関東支社ウェルネス営業一部へ異動になり、再び営業の現場に戻ってきたんです。
どの部署での経験も貴重ですが、とくにデザイン部門での5年間は大きな糧になりました。それまでは栄養士という専門性を軸にキャリアを歩んできましたが、デザインの仕事を通じて、さまざまな商品のブランド理念や表現コンセプト、印刷の仕組みなどに触れることができ、人とのつながりも増え、多角的に見られたこの経験が、今の仕事にも活きていると感じますね。
そして、どの部署にいても一貫して大切にしてきたのはスピード感。とくに開発やデザインの仕事は、多くの人が関わるプロジェクトの一部で、相手のスケジュールに寄り添い、迅速に対応することで、仕事は円滑に進みます。今の営業の仕事でも、お客さまからのお問い合わせにはクイックレスポンスを徹底しています。
こうして振り返ると、一つの分野に留まらず、常に新しい領域へ挑戦してきたこと。その姿勢が、今の営業活動の土台になっているのかもしれません。

▲突然始まった父の介護
順調にキャリアを重ねていた私に、大きな転機が訪れました。2022年4月に デイリー飲料の開発部へ異動する、その3カ月前のことです。年明け、父が脳出血で突然倒れました。コロナ禍と大雪が重なり、搬送が遅れたことも影響して、右半身麻痺と失語症という重い後遺症が残ってしまったんです。数日前まで一緒にお酒を飲んでいた父が、要介護5の認定を受けました。
突然の出来事に、3カ月くらいはよく家で泣いていました。でも、仕事があったから救われた部分も大きかったですね。会社に行けば仕事に集中できて、少しだけ現実を忘れられる。周りからは「休んでいいよ」と言ってもらえましたが、むしろ仕事に没頭することで、心のバランスを保っていたように思います。
それから半年後、父の在宅介護が始まり、新しい部署での業務と介護の両立という、私にとって未知の挑戦が始まったのです。
まず、上司と同僚に「父の在宅介護が始まります。テレワークの時間が増えるかもしれません」と正直に伝えました。何かあった時に迷惑をかけてしまうので、状況の共有は不可欠だと考えたんです。家族とも、母と姉と私の3人で話し合い、ルールを決めました。「介護は必ず二人体制で行うこと」「もし誰かが倒れたり、父が骨折で入院したりしたら、施設への入所を検討すること」。先々のことまで話し合えたことで、少し見通しが立ちましたね。
とはいえ、在宅介護は想像以上に過酷でした。食事の準備から着替えや移動、排泄の介助まで、常に気が休まらない。始めてからたった1週間で、家族全員が心身ともに限界を感じることに。
そこで、すぐにケアマネージャーさんに相談し、デイサービスや訪問リハビリといった介護サービスを積極的に利用することにしたんです。まず土日は実家に行って介護ができるので、平日のみ介護サービスを使おうとしました。そこで最初にケアマネージャーさんから言われたのが「あなたたちは月から金まで働いているんだから、土日まで介護をしていたら潰れてしまう。土日は自分たちのために使いなさい」という言葉。今でも強く心に残っています。このアドバイスがあったからこそ、私たちは共倒れせずに済んだのだと思います。
頼れるものには、早期から頼る。一人で、家族だけで抱え込まない。今思えば、その「頼る」という的確な判断が、仕事と介護を両立させるための鍵になったんだと感じています。

▲介護を始めた頃に支えてくれた大切な同僚たち
介護と仕事との両立にどう向き合っていこうか。そう考えて制度を調べている中で、私は社内の「介護ERG(Employee Resource Group)」の存在を知りました。明治におけるERGは、DE&Iに関して共通の課題や関心を持つ社員が情報交換や支え合いを通じて、より良い職場環境をめざす活動のことを指します。
何か情報を得られればとERG活動への参加を決めました。活動の中でとくに役立ったのが、会社を通じて紹介された「L-CAT」というビジネスケアラーの仕事と介護の両立を支援するサイトです。そこで「在宅介護をしている人は全体の8割にのぼる」「脳の病気による介護は長期化しやすい」といった客観的なデータを知り、見通しがたって安心できたのと同時に、介護への覚悟が決まりました。
介護ERGの主な活動は、月に一度のオンラインでの情報交換会で、今は18名ほどのメンバーがいて、それぞれの体験談を共有し合っています。他のメンバーの介護の話を聞くことで、「そういうやり方もあるんだ」と参考にさせてもらうことばかりです。介護に正解はありませんから。だからこそ、他の人の話を聞いて自分の状況を客観視できるこの場はとても貴重でした。
また、ERGの活動として「明治版オレンジカフェ」という、お昼休みに開催するオンラインの情報交換の場があります。これはERGのメンバー以外も自由に参加できるのですが、自分の経験や知識を、他の社員に提供できるのは嬉しいですね。
以前、社内の掲示板に私の介護体験談を載せてもらったことがあるのですが、それを見た他の部署の知人から「実はうちの親も……」と相談の連絡をもらったことがありました。突然介護に直面すると、誰に、何を相談していいかすらわからなくなるもの。そんな時に、社内に相談できる相手がいるという事実は、大きな安心材料になるのだと思います。
精神的な支えという点では、当時の開発部の同僚たちの存在も、本当に大きかったですね。育児の話題は日常的に会話に出やすいですが、介護の話はどこか遠慮がちに。でも私は、あえて「こんなことがあって」と話すようにしていました。同僚たちは「うんうん」と話をよく聞いてくれて。その何気ない時間があったから、心が救われた部分がすごく大きかったですね。

▲平日は仕事と介護、週末は趣味でリフレッシュ
仕事と介護の両立を図る上で、心と身体をリフレッシュすることも大切にしています。ケアマネージャーさんの「土日は休み」という言葉を守って、週末はできる限り自分のための時間と決めているんです。趣味がパン屋さん巡りなので、通販で頼んでいたパンが届くと、心がときめきますね。
仕事で落ち込むことがあっても、好きなことに触れる時間があれば気持ちを切り替えられます。最近はホットヨガで身体を動かすことも始めました。趣味を持つことの大切さを、あらためて感じています。
4年目を迎えた介護生活を経て、私の心境にも変化が生まれてきました。介護は「自分への勉強」であり、「チャレンジ」だと捉えられるようになってきたんです。父は身体が不自由なだけで、食欲も旺盛で元気です。だからこそ、行動の幅を広げてあげたい。そう思うようになりました。
最初は車椅子で外出することから始め、つぎは普通のタクシーに乗る練習、そしてこの間は、ついに4年ぶりに電車に乗せて外食することにも成功しました。駅員さんの力も借りながらでしたが、父が車窓からの景色を見て「良かった」と言ってくれた時は、本当に嬉しかったですね。また数年ぶりの外食もとても楽しそうでした。新しい刺激は、失語症のリハビリにも良い影響を与えていると感じます。
なぜ、私がそこまで前向きに挑戦を続けられるのか。その原動力は、「自分自身が後悔したくない」という、シンプルな想いが大きいかもしれません。家が近いということもありますが、親と過ごせる時間は限られているからこそ、やれることはすべてやってあげたいんです。
介護が始まった当初は大変なことばかりでしたが、今では仕事と介護という異なる世界があることが、逆に自分を助けてくれていると感じます。出社・外勤・週1回のテレワークでは定時で必ず上がり、就業前後・食事中や準備の時は家族と話す。その切り替えが、良いリフレッシュになっていて。仕事の悩みを親に聞いてもらうこともありますし、介護をきっかけに姉との絆も深まりました。
最後に、もし今、仕事と介護の両立に不安を感じている方がいたら、私の経験から少しだけお話しさせてください。
突然介護が始まると、誰もが戸惑い、不安になると思います。でも、どうか一人で抱え込まないでください。頼れるサービスや人を、ためらわずに頼ってほしいです。そして、ご自身の時間も大切にしてください。幸い、明治には介護ERG活動のような社員同士で支え合う文化があります。
仕事と介護、異なる世界を持つことは、決してマイナスなことばかりではありません。むしろ、視野を広げ、あなた自身の人生をより豊かにしてくれるはず。後悔しない選択をするために、前向きにチャレンジを続けていってほしいと願っています。
株式会社 明治 2003年入社
※ 本記事はtalentbookに掲載されている、株式会社 明治のストーリーを紹介しています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
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